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麦わら帽子は冬に買え

不況を嘆いてみても何の解決にもならない。不況で仕事がないときこそ、将来の自社のあるべき姿を考え直すいい機会になる。不況は会社を強くする。5年後、10年後に現在を振り返って検証してみると、「あのときが千載一遇のチャンスであった」と結論づけられるだろう。

不況下のM&A事情

 民事再生を申し立てた企業や破産した企業の管財人から譲渡の依頼を受けることが多くなってきた。あるいは法的な倒産手続きこそ行っていないものの、銀行が借り換えに応じてくれないために譲渡を余儀なくされる成長企業からも相談が増えている。

 成長途上にある会社には強い資金ニーズがあるのだが、IPOマーケットが機能不全に陥っている中で、ベンチャーキャピタルも投資に及び腰になっている。当面の間、新規投資を行わないというベンチャーキャピタルもあると聞く。2〜3年後にはベンチャーキャピタル業界も様変わりしていることだろう。いずれにしても成長途上の企業へのリスクマネーの供給も極端に細っているのである。

 そうなると資金調達は銀行に頼るしかないのだが、この経済情勢では銀行もそうやすやすとは融資に応じてくれない。その結果、成長企業であっても資金繰り難のために身売りを余儀なくされるケースも多くなってきた。世界的な信用収縮の影響がこんなところにも及んでいるのだ。

 もちろん、これらの企業の中には魅力的な企業も多い。恐らく金融情勢が正常ならば、十分、自力で経営できていただろう。ところが、こういった会社ですら売り手となっているのだ。しかも、劣悪な経済環境を反映して買収価額は全般的に安めになってきている。中にはびっくりするほど低廉な価額で買収できるケースもある。

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不況というチャンス

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この記事の著者

荒井 邦彦(アライ クニヒコ)

株式会社ストライク代表取締役/公認会計士・税理士70年千葉県生まれ。一橋大学商学部卒業。93年太田昭和監査法人(現新日本監査法人)入社、株式公開支援、財務デューデリジェンスなどの業務を経験。98年株式会社ストライク設立、現在に至る。主な著書に『企業法務戦略』(中央経済社)、『新株予約権と種類株式の実...

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