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サイバー攻撃から身を守る、ISMS認証取得で見えた企業動向―20年前と今の変貌

 企業における情報セキュリティの認証として取得企業が定着してきたISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)。その認証審査を2002年から実施してきたBSIグループジャパンの代表取締役社長 漆原将樹氏の寄稿をお届けする。ISMS認証取得に対する企業の動向はこの20年間でどのように変化し、企業のセキュリティへの取り組みは今後どのように変わっていくのか。データに基づいて解説する。

ISMS認証取得は20年間で48倍に増加

 新型コロナウイルスのパンデミックから2年という歳月が経過しましたが、このパンデミックにより企業が対処しなければならない情報セキュリティに関する課題は明らかに増加しました。

 私たちは、企業における情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)審査(BS7799)を2002年より日本で初めて開始しました。20年前と現在とでは、ISMS認証取得に対する企業の動向は大きく変化し、取得に動く企業は年々増えています。ISMS認証取得の登録企業数は、2002年は144件でしたが2022年には6945件(2022年6月30日現在)と、およそ48倍になっており、今後も増え続けることが予測されます。

 [画像クリックで拡大]

何がISMS取得の動機になっているのか?

 2002年11月に「2002年国土安全保障法」が成立し、成立直後は、ISMS取得が取引要件であったことから主に通信キャリアが認証取得に取り組んでいました。その他の産業分野では、IT系企業、データセンター系企業が続いている状況でした。しかしその後、企業による情報漏洩等の課題が浮き彫りになったことにより、認証取得をするだけではなく継続的に情報統制をとることが鍵だと考えられるようになりました。認証取得後、情報が漏洩した時には全情報にブロックがかかってしまうため、必要な情報さえも取り出せなくなってしまったことがあったからです。2020年のISMS取得は、情報技術産業が最多ですが、その他の産業でも広がりを見せています。

産業別ISMS(ISO/IEC 27001:2013)認証取得件数 引用:ISOサーベイデータ(2020年) [画像クリックで拡大]

 ISMSは、個別の問題に対する技術対策に加え、組織のマネジメントとして、自らのリスクアセスメントによって必要なセキュリティレベルを決定し、プランを持ち、資源を配分して、システムを運用するための枠組みです。情報の機密性、完全性、可用性をバランス良く維持・改善し、リスクを適切に管理しているという信頼を利害関係者に与えることを主眼としています。現在は、認証取得の目的は情報統制をとることに重きをおき、情報を守るだけではなく安全かつ早く取り出すことができる点が重要となっています。ISMS認証に取り組む産業分野もIT系だけではなく医療系からサービス業まで、多岐にわたっています。近年では、自動運転に携わる企業の取得意欲が強く、また、自動運転の実現のために、これまでの完成車、自動車部品企業のみにとどまらず、化学メーカー、電装部品メーカー等、日本でも広範な業種の企業が規格取得のために動きはじめています。

 また、国際規格のISO/IEC 27001は、組織が情報資産を安全かつセキュアに保つために管理および保護し、利害関係者からの信頼を獲得するための「セキュリティ体制の確保」を目的としたフレームワークです。このフレームワークは、1995年にBSIが策定し公開されたBS 7799が原案となっており、これは私たちが日本で最初にITセキュリティの規格を導入したフレームワークとなります。

次のページ
ISMS認証のメリットとは

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この記事の著者

漆原 将樹(ウルシハラマサキ)

BSI グループジャパン株式会社
(British Standard Institution:英国規格協会)
代表取締役社長一橋大学大学院国際企業戦略研究科(MBA)修了。
2000年よりパナソニック株式会社でグローバルアカウントマネジメント、OEM営業、開拓営業、マーケテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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