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Autodesk Summitで見えたAI時代のジェネレーティブデザイン最前線:トヨタ、ヤマハ、建設業、宇宙開発

Autodesk Design & Make Summitレポート

 2024年7月5日開催の「Autodesk Design & Make Summit」で注目を集めた講演「創造と革新のものづくり」。AIがデザインの常識を覆す4つの事例が紹介された:トヨタの機能的シート、ヤマハの革新的トラクター、Triple Bottom Lineの水上太陽光発電、学生チームの軽量火星探査機。ジェネレーティブデザインが製造業と建設業の垣根を越え、新たな可能性を開く。オートデスクの藤村氏のセッション内容を紹介する。

トヨタ自動車:AIが革新する次世代シートフレームデザイン

オートデスク株式会社 製品開発&製造業ソリューション部 Fusion APAC / Japan シニアセールスマネジャー 藤村祐爾氏
オートデスク株式会社 製品開発&製造業ソリューション部 Fusion APAC / Japan シニアセールスマネジャー 藤村祐爾氏

 本格的な生成AI時代の到来にあたり、藤村氏は「解放」「創造」「革新」「未来」をキーワードに、4人のリーダーがそれぞれどんな取り組みを実施したかを紹介した。まず、「解放のリーダー」として紹介されたのは、トヨタ自動車の大森慎介氏(ビジョンデザイン部 インテリアデザイン室 主幹)である。

 大森氏はAIを使い、乗用車のシートフレームのデザインを行なった。大森氏によれば、クルマのシートフレームのデザインで最も難しいのが「薄くすること」だという。コンセプトカーであれば、自由に理想のデザイン追求が許されるが、商用車は違う。厳しい制約が課されてのデザインを形にしなくてはならない。特に重要になるのが安全性である。大森氏が目指したのは、イメージ先行で終わらず、量産可能な機能性の高いデザインを実現することであった。

 加えて、最近ではサステナビリティに配慮しなくてはならない。コストの制約もある。外観の美しさと機能性の両立は可能か。これまでのやり方に限界を感じていた大森氏は、ジェネレーティブデザインに関心を持った。とはいえ、当初の期待はさほど高いものではなかったという。どちらかといえば、「失敗して当然」という軽い気持ちで始めたことだった。

 AIが最初に提案を基にしたデザインは、中心に背骨が通っていて、横は薄い骨で身体全体を包み込むようにサポートする立体的な形状であった。AIはデザインの完成形を示したわけではない。出力結果を調整しながら、デザインを完成させた。大森氏によれば、最初に図1左側のデザインを見た社員たちの反応は「何だか気持ちが悪い」というものだったが、興味深いことに、右側のブラッシュアップ後のデザインを見た後は、打って変わって「構造的に新しい」と評価する声が多数を占めたという。

 藤村氏は、大森氏のコメント「デザインでAIツールを使うときに重要なことは、お客様が求める快適さ、使いやすさをシンプルに美しく、素直に表現すること。そして、トヨタのデザインとしての方向性を明確にすることが大事」を紹介した。AIはこれまでの固定概念を取り払ってくれる。その解放感は「面白いね」「やってみたいね」と周囲に伝播する。藤村氏は、ジェネレーティブデザインはワクワク感を醸成し、新しい発見を求める人のためのツールになると評した。

トヨタ自動車がAIでデザインしたシートフレーム 出典:オートデスク [画像クリックで拡大]

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ヤマハ発動機:ジェネレーティブデザインが生み出す無柱トラクター

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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