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週刊DBオンライン 谷川耕一

ガートナーの専門家が語るDBMS市場のマジック・クアドラント、熾烈極めるクラウドデータベースの局面

生成AIが市場に与えるインパクトは?


 データベースの稼働環境も、いまやクラウドが当たり前だ。オンプレミスからクラウドにリフトするケースがあれば、各クラウドベンダーが用意する多様な「DBaaS」と呼ばれるサービス利用も増えている。では、クラウド環境における各種データベースは、どのように利用されているのか。その動向について、クラウド・データベース管理システムのマジック・クアドラントに関わっているガートナー シニアディレクター・アナリストのシンユウ・グ氏に話を聞いた。

AWSはクラウドインフラとしての圧倒的な強みで、DBMSでも高いリーダーポジションを確保

 ガートナーによれば、2023年のデータベース管理システム(DBMS)市場全体を見ると、市場規模は1023億ドルと12.8%増加している。DBMS市場全体の売り上げ規模のシェアは1位がAWS(Amazon Web Services)、その後ろにMicrosoft、Oracle、Google、IBMが並ぶような状況となった。これら5社の売り上げが市場全体の82%を占め、SAPやSnowflakeなどが続いている。

 また、DBMS市場をクラウドに絞ると、売り上げ規模は624億ドルと全体の61%を占める結果が表れた。その成長率は91%と高く、市場規模も21%成長している。なお、クラウドに絞ったときの売り上げ上位3社はAWS、Microsoft、Googleだ。ガートナーは2027年までにDBMS市場全体の70%以上をクラウドデータベースが占めると予測しており、もはやDBMSにおけるクラウドは未来ではなく“現実”のものになっているという。

 また、ガートナーによる興味深い予測の1つが、2027年までにRDBMS製品は、NoSQLの競合製品の実用的機能の80%を備えるようになるというもの。つまり、これまでNoSQLのデータベースが得意としてきた、多様なデータタイプの扱いをリレーショナルデータベースが取り込んでしまうということだ。この方針を強く打ち出しているのは、OracleのConverged Databaseだろう。最近ではSnowflakeやDatabricks、TiDBなどがベクトルデータへの対応を発表しており、そうした動きが予測を裏付ける。

 2023年12月に発表された、クラウドデータベース管理システム部門のマジック・クアドラントを見ると、リーダーポジションにおいて最も右肩に位置するのがAWSだ。AWSは用途別にデータベースを用意する方針をとっており、先述したような1つのデータベースで多様なデータタイプを扱うとはしていない。では、予想通りの方向性へと進むならば、現在のマジック・クアドラントの位置づけにも変化が訪れるのだろうか。

出典・提供:Gartner
出典・提供:Gartner

 これについてグ氏に訊ねると、「重要なことは、AWSが世界中で最も“ホット”なクラウドであり、極めて多くの人が利用しているクラウド基盤をもっていることです」と話す。インフラに強く依存するというデータベースの性質を考えたとき、クラウドインフラ市場において先頭を走っているAWSのデータベースが多く使われるためだと指摘する。

 それだけでなく、AWSが構築しているエコシステムの影響も反映されているという。AWSと強力なパートナーシップを結んでいるテクノロジーベンダーは多く、その顧客企業もAWSのユーザー会へと積極的に参加している。これらの強みが組み合わさったことで、AWSはマジック・クアドラントで高いリーダーポジションを確保する結果となった。そのため、「他のプレーヤーとは、評価軸が少し異なります」とグ氏は説明する。

 一方、AWS以外のプレーヤーに目をやると、生成AIの台頭を背景に、ベクトルデータを扱うための機能をRDBMSに急ぎ実装している。これにより、専用のベクトルデータベースを利用しない潮流も生まれつつある。グ氏は「データベースの世界では、一時的なイノベーションが起こることは珍しくありません。そのため、大手ベンダーは機能追加により、きちんと潮流に追いついています」と語る。

 これまでもニッチなプレーヤーが多数登場し、特長あるベンダーがたくさん生まれてきた。そうした競争の激しい市場で生き残るためには、クラウドベンダーが提供できない製品である必要があるだろう。その1つが「中立性」だとグ氏。特に大企業などは、特定のクラウド環境下でしか使えないものを嫌う傾向がある。そのため、ベンダーロックインされないとの理由からSnowflakeやDatabricksのような、複数のクラウドで利用できるソリューションが選ばれている。

 元々オープンソースソフトウェア(OSS)だった製品でも、クラウドベンダーが提供するマネージドサービスであれば、結局はそのクラウドベンダーに囲い込まれてしまう。便利で使いやすいからと利用を始め、次第にスケールアップしていけば、結局はベンダーに大きく依存する。ベンダーはそれを望んでいるかもしれないが、ユーザーとしては徐々にコストが気になりだし、このまま幸せが続くのかと不安になってしまう。こうした観点からDBMS市場を見ると、マジック・クアドラントにおけるポジショニングの意味が理解しやすくなる。

次のページ
マジック・クアドラントに不在のダークホース「PingCAP」 急成長の要因をガートナーはどう見る?

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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