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塩野義製薬データサイエンス部が開発した「AI-SAS」とは?データで変革を起こすチームと開発の裏側を訊ねる

日本企業で初の受賞、SAS Innovate 2024 in Las Vegasでインタビュー

 COVID-19治療薬で知られる塩野義製薬。データやデジタルを活用した創薬イノベーションや新規事業創出にも積極的だ。同社はSAS Instituteの日本企業ユーザーで初めて、SAS Customer Recognition Awards 2024の「Innovative Problem Solver」部門において1st place winnerに輝いた。米国ラスベガスで2024年4月16日~19日(現地時間)にかけて開催されたSAS Innovate 2024には、受賞企業として同社のデータサイエンス部のメンバー4名が参加、インタビューの機会をいただいた。受賞の決め手となった同社独自のシステム「AI-SAS」とは何か。

日本企業で初の受賞、塩野義製薬のデータサイエンス部とは?

 SAS Customer Recognition Awards 2024は、SAS製品やサービスを通じた革新的な方法で業務課題を解決したユーザーが表彰される。塩野義製薬は、「Innovative Problem Solver」部門において1st place winnerに輝いた。日本企業としては初の受賞となる。

 受賞の決め手となったのは、同社が独自に開発した「AI-SAS(AI SAS Programmer)」だ。医薬品の臨床試験における解析業務の多くのプロセスを、AIによって自動化するシステムである。これにより、従来の臨床試験における解析業務にかかっていた時間が大幅に短縮されるほか、この技術を活用した新規事業の創出も可能になるという。

 今回、ラスベガスで開催されたSAS Innovate 2024に同社の代表として参加した塩野義製薬のデータサイエンス部は、2020年4月に発足したデータサイエンス室にルーツを持つ。DX推進本部の傘下にあり、現在は約50名の社員が在籍しているが、それぞれのメンバーが有するスキルやキャリアは多種多様だ。同部 部長の北西由武氏は、「業務部門の出身者もいれば、長年臨床統計や機械学習、データサイエンスに携わってきたメンバーもいます。ですから、領域の異なる社内の様々な部門とのコミュニケーションに困ることはなく、連携もスムーズです。組織として、かなり成熟した部署になり始めている感触を得ています」と語る。

 彼ら彼女らは、社内の様々な部署と横断的に協働し、二人三脚で業務課題解決やイノベーション創出に取り組んでいる。ここで重要となるのが、「必要なデータを必要なタイミングで提供する」ことだ。何の根拠もないまま、とりあえず目の前にあるデータをサイエンティストに渡したところで、業務部門のビジネス課題解決や利益向上につながるような成果が得られる可能性は極めて低いだろう。

 そこで、同社のデータサイエンス部の中には、大きく分けて「データサイエンスユニット」と「データエンジニアリングユニット」の2つの機能が設置されている。それぞれのユニットの中には、役割ごとにさらに細分化された小さなグループが複数存在するのだが、データエンジニアリングユニットがデータの収集と蓄積、加工を行うことで、データサイエンスの力だけでは難しい、より精度の高い分析・解析が可能になるのだという。

 ここでも「横断的連携」が鍵となる。具体的には、データサイエンス部内の各ユニット間での連携だ。各ユニットがそれぞれの担当分野に特化したスキルを有しているものの、それら単体ではビジネスでの成果には結びつきにくい。

 また、ビジネスとデータ、テクノロジーの垣根がなくなりつつある今、こうした横断的連携はこれからの時代の企業に必須のカルチャーとなるだろう。同部内のデータサイエンス1グループでグループ長を務める吉田祐樹氏は、「各々の役割によって他部署とのコミュニケーション頻度などは異なるものの、データサイエンス部のすべてのメンバーがシームレスな働き方の経験を日々積んでおり、ビジネスとの分断を起こさないための体制が出来上がっています」と語る。

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統合解析環境でSAS Viyaを利用、多様なプログラミング言語やスキルの共存を実現

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この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

2022年より「Biz/Zine」で取材・編集・執筆を担当。2024年4月にEnterpriseZine編集部に加入。AIやサイバーセキュリティ、データサイエンス等に携わる方、テクノロジーによる変革を牽引するCIOやCDO、CISOに向けた情報を発信します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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