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Okta、成長の加速戦略はパートナープログラム。来日したSVPビル・ハスタッド氏に訊く。

Okta SVP ビル・ハスタッド(Bill Hustad)氏インタビュー


 2020年9月の日本法人の設立以来、順調に日本市場を拡大しているOktaが、今後さらに日本でのパートナー政策を強化するという。来日した米Okta グローバルでのパートナープログラムの責任者であるビル・ハスタッド(Bill Hustad)氏と、日本のパートナー政策リーダーの田中克典氏に話を聞いた。

Okta シニア・バイス・プレジデント(SVP)ビル・ハスタッド(Bill Hustad)氏/Okta Japan 株式会社 Okta Japan 株式会社 Partners and Aliance 統括本部長 田中克典氏

Okta シニア・バイス・プレジデント(SVP)ビル・ハスタッド(Bill Hustad)氏

Okta Japan 株式会社 Partners and Aliance 統括本部長 田中克典氏

 米Oktaは2022年8月に、グローバルパートナー&アライアンス担当に新しいシニア・バイス・プレジデント(SVP)、ビル・ハスタッド(Bill Hustad)氏を迎え入れた。Oktaのグローバルパートナーチームを率い、Oktaの市場参入戦略、実行を担当する。グローバルでのパートナー政策の一環として10月に来日した。

海兵隊からSplunk、そしてOktaへ

 ハスタッド氏は、卒業後は米国の海兵隊からキャリアをスタートした。その後ホワイトハウス勤務を経て、IT系の民間企業のCEOを含め、さまざまな幹部職を歴任。Oktaに着任する前はSplunkのグローバルパートナー組織で、CSP、GSI、MSP、テクノロジーパートナーシップ、チャネルセールスにおけるSplunkの戦略および実行を担ってきた。

 営業、製品管理、プロフェッショナルサービス、カスタマーサクセス、マーケティング、事業開発および運営、パートナーおよびアライアンスの各分野でチームを率いた経験があり、卓越したリーダーシップを持つ人物とされる。

 「大学では建築学科を卒業したのですが当時は建築不況で、海兵隊に入隊したのです」という。海兵隊で学んだリーダーシップが、その後のビジネスに活かされているという。その後クリントン政権下でのホワイトハウスの仕事で、各国の大使館の通信インフラを、犯罪集団やテロリストの攻撃から守るという仕事に就いた。

 その後、民間企業に移り、Javaなどのプログラミングを習得。Webサイトのレコメンドエンジンのベイノート(Baynote)社で10年間、営業部門を統括。最高顧客責任者を経て、最後の4年半はCEOを務めた。

 ベイノートでは、日本のCSKシステムズ(現SCSK)とパートナーシップを組む。パートナーの強さと重要さを知ったのがその時だった。「米国とはまったく違う、日本のビジネスのパートナーの強さを目の当たりにしました」(ハスタッド氏)

 ベイノートを売却した後は、データ分析基盤の企業であるSplunkに入社。ビッグデータからAIブーム、そしてコロナによる米国ハイパーグロース企業の急成長期をSplunkで経験した後、2022年からOktaに入社した。

 「Splunkではインフラやプロダクトの管理、ワークロードの移行支援、パートナーアライアンスの仕組みを構築しました。Splunkの5年間で、会社が急成長する時に直面する問題へのさまざまなインサイトを得ました」

 海兵隊、政府機関、スタートアップから急成長ベンチャーでのキャリアを通じて身につけたスキルは、リーダーシップ、セキュリティ、インフラ管理と開発、パートナー管理など。どのキャリアも無駄にはならず、積み重ねたことが今につながる。Oktaも米国のSaaS企業の中で最も成長率の高い企業の1つだ。ハスタッド氏のミッションは、パートナープログラムを構築し、それをOktaのGTM(Go To Market)戦略の核としていくことだという。これまでの活動が、この成長に貢献できると自信を見せる。

Oktaの2つの事業の柱とAuth0の統合意義

 現在のOktaの事業展開は、2本の柱をもっている。1つは「ワークフォース・アイデンティティ(Workforce Identity)」と呼ぶ従業員向けのシステムにログインするためのアイデンティティ管理。もう1つは、「カスタマー・アイデンティティ(Customer Identity)」と呼ぶ外部ユーザーに向けたアイデンティティ管理だ。

 この2つは対象となるユーザーが異なるため、パートナーの政策もその違いを踏まえた展開が必要になる。とくにカスタマー・アイデンティティに関しては日本では、システムインテグレーター、販売パートナー、リセラー(再販業者)、との連携が要となる。さらにセキュリティ、ヘルスケア、金融、地域密着型の専門のアプリケーション開発企業とのパートナーも重視している。こうしたOktaだけではリーチできない分野との関係を作ることを、ハスタッド氏はパートナー・エコシステムと呼んでいる。

「私たちが直接手を伸ばせないような市場に参入するため、パートナーを重視しています。特にセキュリティソリューション分野では、ZscalerやCrowdStrikeなどともパートナー・エコシステムを組んでいます」

 ワークフォース・アイデンティティに関しては、これまで従業員が社内のデータやアプリケーションを使いやすくするためのアクセスを管理すると同時に、社内のセキュリティを確保していくという目的もあった。ワークフォースの対象は、従業員だけではなく、外注や契約社員なども含む。

 多くのSaaS企業が、Oktaにとっては「競合」ではなく「連携」の対象となるのは、SaaSの連携基盤を提供するOktaのビジネスから見て当然のことだが、ID管理の面では競合ともいえる企業のAuth0を買収したことは、業界の中でも注目を浴びた。その目的は、Auth0が強みを持つ、開発者のためのID認証の分野を統合することでID管理の市場のリーチを拡大することだったという。

 「Oktaとしては、開発者のためのID管理の市場と統合することでリーチを拡大できたといえます」(ハスタッド氏)

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日本になぜID管理が必要なのか

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、EnterpriseZineをメインにした取材編集活動、フリーランスとして企業のWeb記事作成、企業出版の支援などもおこなっている。 ...

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