PagerDutyは3月27日(米国時間)、米国大手企業の技術部門幹部を対象に実施した生成AIの採用に関する調査結果を発表した。
調査では、各社セキュリティ面と倫理面を懸念して、生成AIの採用に慎重な姿勢であることが明らかになったという。回答者の98%が、社内の生成AI採用に向けた取り組みを一旦中断し、ガイドラインとポリシーの策定を進めていることがわかったとしている。
同調査は、Fortune 100企業のCIO直属の部長以上の役職にある幹部1,000人を対象に実施。企業内でAIの可能性についての議論は活発化している一方で、調査対象の幹部全員がこの技術に潜むセキュリティリスクについて懸念していると回答し、半数以上(51%)が、生成AIの採用は適切なガイドラインが整うまで見送るべきだと回答したという。
回答した幹部たちは、先進技術の潜在的なビジネス上のメリットと未来について最も関心を持つ立場にあり、半数近く(46%)は早急に生成AIの採用を進めなければ競合に遅れを取る恐れがあると考えているとしている。その一方で、4分の1が生成AIを信頼していないと回答したという。
PagerDutyのCIOを務めるEric Johnson氏は、次のように述べている。
「技術部門の幹部は、通常先進技術の採用に前向きなアーリーアダプター的な層です。しかし、それは社内で規定されたガイドラインのもと安全性が保証されていることが前提です。調査からは、信頼できる結果が得られるまで生成AIの試用には各社慎重な姿勢であることが伺えます。大規模に生成AIの展開を進めるには、信頼に基づく、適切な技術と確固たる基盤を確保し、既存のものよりも安全な環境下で生成AI技術の試用を可能にすることが鍵となります」
その他の主な調査結果
- 50%が企業の評判に生成AIがもたらすリスクについて懸念していると回答
- 51%が著作権や法的リスクが非常に不安であると回答
- 51%が適切なガイドラインが整備されるまで生成AIの導入は検討していないと回答
- 正式なガイドラインを策定済みの企業は29%に留まり、66%はこれらのポリシーを現在策定中
- 生成AI採用の取り組みを一旦中断してポリシーを策定する一方で、調査対象となった幹部の64%は組織のほとんど、またはすべての部署で生成AIはすでに使用していると回答。98%の企業は生成AIのユースケースを実際に試用中
なお、同調査はPagerDutyの委託によりWakefield Researchが実施。
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