日本IBMとの合弁会社設立 プロジェクトメンバーの成長感じる
酒井:2021年には、長年のパートナーである日本IBMと合弁会社「I&Jデジタルイノベーション」を設立されましたね。
柴田:大きな目的はDXの加速です。具体的には大きく2つあると思っています。1つは技術力とリソースの強化。高度な技術力の獲得と優秀なSEの確保にもつながります。2つ目は人材育成です。IBMのエンジニアと一緒に働くことで、高度なノウハウを吸収できる機会が増えました。おかげさまで、プロジェクトメンバーの成長ぶりは目覚ましいものがあります。出向などの人材交流も活発に行っています。
酒井:2023年からは、日本IBM出身の黒田さんがJTBのCIO、CISOに就任されています。
柴田:黒田さんからは多くのことを学んでいます。特に、課題やリスクへの対処方法、判断の速さなど、勘所を押さえたプロジェクトマネジメントの緩急が本当にすごいです。現場は決してPMの教科書通りにはいきません。そんなとき、幾多の経験で培われたノウハウから指揮してくださるのが、とてもありがたいです。
コロナ禍で、情シスは「縁の下の力持ち」から「最前線」へ
酒井:コロナ禍は、旅行業界に大きな影響を与えました。
柴田:最も大きな変化は、デジタルを強く意識するようになったことです。お客さまの動きとして、ショッピングセンターに来たついでに何となく立ち寄るのではなく、目的を持って来店されるケースが増えました。来店いただくことの価値が変わりましたし、デジタルでのサービス提供を強化する必要性が高まりました。
酒井:こうした変化によって、情報システム部門の役割はどう変化したのでしょうか。
柴田:一番の変化は、私たちの仕事が、ダイレクトにお客さまの価値提供につながるようになったことです。社内もそれを期待するようになりました。事業とデジタルの融合を目指し、データの収集・分析・活用を高度化し、それを基に新しい事業のきっかけを作る。そんな循環を生み出すことが、私たちの重要な役割になりました。言うなれば、「縁の下の力持ち」から「最前線」になったのです。