三菱UFJ銀行のデータセンターも利用、参画の背景を語る
金融ハイブリッドクラウド・プラットフォームは、MUFGが設立した新会社「礎(いしずえ)」を通じて提供される。IBMのメインフレームを他業種と共同利用するのではなく、地域金融機関専用のプラットフォームとして提供するという。メインフレームの設置場所の一部として、同行のデータセンターも利用するとのことだ。
MUFGが今回のパートナーシップに参画した背景とは何か。同行の取締役常務執行役員 CIOの越智俊城氏は、その発端として「近年の地域金融機関が直面している、物価高騰によるコスト負担の増加やセキュリティへの対応、災害やシステム障害に対する体制の強化などといった課題の解決に向けて、日本IBMより協力の提案をいただいた」と明かした。
また、長年にわたり両社は共同化システムの構想について協議を行ってきたほか、MUFGがIBMのメインフレームユーザーであったことも理由として挙げられた。
IIJによりOA環境の共同化も可能に
次に、IIJが提供する領域について(図3)。まずは、分散基盤共同プラットフォーム。これは、IIJのデータセンターから提供される。続いて、運用センターや外部との接続を担う地銀共同化プライベートネットワーク・バックボーン。これにより、ネットワーク資源や運用の効率化を実現するとともに、セキュリティや認証機能の提供、今後の様々なクラウドプラットフォームへの接続柔軟性の向上を図るとしている。
加えて、今回の取り組みとは別にIIJが独自に提供する領域について、同社の取締役 副社長執行役員である竹林聡氏から説明があった。
1つ目は、「個別契約データセンター移転先」。分散基盤共同プラットフォームとは別に、各金融機関が個別にデータセンターで所有しているサーバーも、IIJのデータセンターにて同じ仕様で利用できるというものだ。
2つ目は、「OAサービスプラットフォーム」。各金融機関で構築されているOA系環境を、共同プラットフォームとして利用できる。「OA環境についても、共同化のメリットを享受できるようになるはずだ」と竹林は述べる。
前述のプライベートネットワーク・バックボーンに参加していれば、これらの独自サービスにもシームレスに接続できるようになるという。