米国時間2024年10月9日、Zoom Video Communications(Zoom)は、「Zoom Workplace」「Zoom Business Services」向けの新ソリューションを発表した。
AI Companion 2.0
新たに発表された機能の詳細は以下のとおり。
- 持続性:常時表示されるサイドパネルからAI Companionを利用できるようになった。また、グラフィカルユーザーインターフェースと対話型UIを統合したUI提供で、Zoom Workplace全体の情報フローを向上させる
- 拡張されたコンテキスト:ユーザーがZoom Workplaceアプリ内で閲覧した内容や過去の会話に基づくコンテキストから、提案や引用などの回答を提供する
- 統合:Microsoft Outlook、Microsoft Office、Gmail、Google カレンダー、Google Docsでアップロードされたファイルの情報を取り込める
- ウェブとの接続:ウェブで情報をリアルタイムに検索し、ユーザーの質問に回答できる
- アクションの実行:Zoom Workplaceの様々なワークロードでアクションを検出、追跡、完了できる
AI Companionのカスタムアドオン
また、今回発表されたAI Companion向けカスタムアドオンは、個々のユーザーにカスタマイズ/パーソナライズされたAI Companion体験を提供。MicrosoftやGoogleのメール、カレンダーサービスだけでなく、他のアプリへのデータアクセスも拡張し、ナレッジを拡充するとのことだ。また、企業用語集を用いたカスタマイズにより、検索機能の強化、アクションの代行を可能にするという。主な機能は以下のとおり。
- AI Studio:カスタム辞書、ミーティング要約、ナレッジコレクションを活用し、独自のビジネスニーズに合わせてAI Companionをカスタマイズできる。また、企業のデータソースに接続することで応答精度が向上する
- サードパーティ製アプリとの連携:サードパーティのデータソースと接続し、洞察を得られる。これにより、Atlassian(Jira&Confluence)、Glean、Workday、Zendesk、ServiceNow、Box、Asana、Hubspotなどのサードパーティ製アプリ全体から回答を得られ、アクションの編成ができるようになる
- パーソナライズ機能:パーソナルコーチング機能でスキルを向上し、Zoom Clips向けカスタムアバターで時間と制作コストを節約できる。カスタムアバター機能は、ユーザーが用意したスクリプトを使用して、パーソナライズされた AI 生成アバターでクリップを作成。撮影の手間を省き、ビデオクリップ作成の効率化を支援する
Zoom Workplaceの新機能
詳細は以下のとおり。
- Zoom Tasks:Zoom Workplace内の会話に基づき、ユーザーのタスクを検出、提案、完了する
- リアルタイムクエリ:Zoom Phoneでの通話の際、リアルタイムで要約を提供する
- Zoom Phoneボイスメール生成:ユーザーの声紋から、個別のスケジュールに合わせてパーソナライズされたボイスメールの挨拶を自動的に作成。これにより、手動によるボイスメールの更新が不要になる
加えて、以下のような機能が拡張されたとのことだ。
- ミーティングアジェンダとリアルタイムサマリー:ミーティングの重要トピックが網羅されているか確認し、ミーティングを予定通りに進行するのに役立つ
- Zoom Clips:事前に選定されたアバターライブラリを使用して、テキストから動画コンテンツを生成できる
- Zoom Docs:組織および権限の新しい設定オプションを追加。また、プロジェクトでのコラボレーションを促進するための新しいデータテーブルの表示や列、APIとワークフローの自動化、加えて執筆シナリオや追加のデータソースに合わせたテンプレートからコンテンツを生成する
その他にも、同社は対面ミーティング向けAI Companionを発表。オフィス内のミーティングでは、AI Companionがワークスペース予約内に拡張され、チームメイトがオフィスにいる時間に基づいてオフィスに行くべき日を提案したり、場所や広さに基づいてミーティングルームを勧めたりするという。
また、従業員とのつながりを促進する従業員エンゲージメントソリューションも発表。詳細は以下のとおり。
- AI Companion for Workvivo:コンテンツを迅速に作成し、従業員への情報提供、エンゲージメント、結びつきを強化
- Workvivo Employee Insights:従業員のエンゲージメント、幸福度、パフォーマンスの測定を支援
Business Servicesの強化
同社は、セルフサービスソリューションの強化と、エージェントおよび管理サポート機能の向上を実施。詳細は以下のとおり。
- Zoomバーチャルエージェント:より複雑な顧客の問題を処理するため、複数の意図を検出する機能を追加。これにより、1回のやりとりで複数の問題に対処できる。加えて、トレンドや問い合わせから得た学習に基づき、顧客の意向を自動的にアップデートするという。また、Zoomバーチャルエージェントの機能をセルフサービスの音声通話に取り込んだ、AIバーチャルボイス エージェントも提供する
- Auto Quality Management:スーパーバイザーはエージェントのパフォーマンスに関するインサイトを得られ、顧客とのやりとりを自動的に採点できる
- AIエキスパートアシスト機能:AI エキスパートアシストが会話の文脈を分析したうえで、エージェントがこれまでどのプロセスを経たかを把握し、関連する次のステップへと案内する
また、ヘルスケアや教育機関など、各業界に特化したサービスも提供するという。詳細は以下のとおり。
- Zoom Workplace for Frontline:現場で働く方向けのサービス。AI Companionが生成する勤務シフトの要約や、シフト制の職場におけるコミュニケーション、業務管理、洞察などの機能を提供する
- Zoom Workplace for Healthcare:ヘルスケア業界向けのサービス。医療機関のユーザーは、医療辞書のカスタマイズおよびパーソナライズ機能、電子健康記録のようなサードパーティのデータソースへのアクセスを提供する、AI Companion for Healthcareのカスタムアドオンも購入できる
- Zoom Workplace for Clinicians:臨床ワークフローを自動化し臨床医の時間の節約を支援。中核は診療記録で、ヘルスケアAIを使用することで書類作成の負担を軽減し、医師と患者のやりとりを強化する
- Zoom Workplace for Education:教育機関向けのサービス。授業計画、授業の要約、パーソナライズされたフィードバック、授業内での生徒のエンゲージメントなど、教育に特化した機能強化を行う。生徒向けの機能には、AI Companionが生成するライブノート、Zoom Docsなどがある。AI Companion for Educationのカスタムアドオンは、生徒情報システム、学習管理システム、その他機関のコンテンツなどサードパーティのデータソースへの追加アクセスを提供する
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