効果的な対策:内部検知能力の強化、包括的アプローチ
ここまで紹介してきたM-Trends 2024の分析結果を踏まえ、組織が取るべき効果的な対策として以下3つが挙げられます。
1. 脆弱性およびアタックサーフェス管理の徹底
脆弱性が主要な侵入経路となっているため、脆弱性スキャンの定期的な実施、迅速なパッチ適用、重要システムの優先的な保護などを含む、包括的な「脆弱性管理プログラム」の実施が不可欠です。同時に、組織の攻撃対象となり得る領域(アタックサーフェス)を継続的に評価し、不要な露出を最小限に抑える取り組みも必要でしょう。そのためには、クラウド環境やリモートアクセス環境の安全性が確保できているか、あらためて注意を払うべきです。
2. 脅威インテリジェンスの活用
最新の脅威動向や攻撃者の戦術に関する情報を積極的に収集・分析し、自組織の防御戦略に反映させることが重要です。特に業界特有の脅威、地域固有のリスクも注視する必要があるでしょう。
3. インシデント対応能力向上、緩和策(mitigation)の実装
サイバーセキュリティにおいて、ゼロデイ脆弱性を完全に防ぐことは困難です。そのため、インシデント発生を前提とした訓練や机上演習などを行い、対応能力の向上を図ることはもちろん、攻撃者の横方向の移動(ラテラルムーブメント)を制限し、被害を最小限に抑えるための緩和策を講じることにも注力すべきです。
結論:進化する脅威に必要なのは、継続的な警戒と適応
M-Trends 2024が示すように、サイバー脅威の状況は刻々と変化しています。攻撃者は常に新たな手法を開発し、防御策を迂回しようと試みています。このような環境下、組織のセキュリティを確保するためには、最新の脅威動向を常に把握し、それに応じて防御戦略を適応させていくことが欠かせません。セキュリティチームのスキル向上はもちろん、経営層の理解と支援を得ることも大切です。
まさにサイバーセキュリティは「終わりのない戦い」と言えます。今回のM-Trends 2024のような包括的な分析レポートを活用し、継続的に学習・適応していける組織は、新たなリスクにも効果的に対処していくことができるでしょう。