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複雑さは最大の敵──ネットワーク管理のシンプルさを訴えるExtreme Networksが描くAIとの協働

次世代規格「Wi-Fi 7」、米国では大規模スタジアムなどで導入進む

トラブルシューティングをAIが自律的に行う未来も近い?

 企業でネットワークを担当するエンジニアが、「社内ネットワークは順調につながって当たり前だが、ひとたびトラブルが起こると、ものすごい勢いでクレームが入ってくる」と話すのを聞いたことがある。企業を支えるネットワークエンジニアはなかなか厳しい状況を強いられていることが少なくないが、それに対しブカリ氏はこう回答する。

 「たとえば、社内システムのパフォーマンスに問題がある場合、エンドユーザーからヘルプデスクへ問い合わせが寄せられます。果たして原因はどこにあるのか、原因究明は容易ではありません。そこで、遠からずこうした場面にAIが活用されることになるでしょう。AIは大量のデータを分析し、色々な可能性を探す作業が得意です。しかも、人間と違って、夜になったから休まないといけないなんてこともありません。トラブルシューティングを担当する優秀なオペレーターになると思います」(ブカリ氏)

 AIがトラブルシューティングを担当するとなれば、これは人間にとってもメリットがあるということになりそうだ。ブカリ氏は、「この分野で利用が始まれば、AIはどんどん進化を続け、トラブルが発生する前に予兆となる動きを検知し、対策をしておいた方がいいなど、自律的に予兆診断のようなことを始めるようになるでしょう」と付け加えた。

 Extreme Networks アジア太平洋地域 CTOのジャスティン・ハースト(Justin Hurst)氏は次のように補足する。

 「技術者不足となっている部門では、AIを使うことでカバーしていこうという動きが今後増えていくと思います。自動化についても、これまではソフトウェアエンジニアがスクリプトを書いて実現していましたが、AIを活用することでスクリプトを書く必要がなくなります。しかも、優秀なソフトウェアエンジニアが存在していないところでも、AIが素晴らしいスクリプトを書いてくれる可能性があります。

 システムが複雑化し、トラブルもどんどん複雑になっている世界において、AIは大きな助けにはなると思います。学ぶスピードも早いですし、理解できるデータの量も人間を大きく上回る、大量のデータを分析していくことができますから。自動化を実現するためのツールとしては、人間を上回る優秀なツールになってくるでしょう」(ハースト氏)

画像を説明するテキストなくても可

Extreme Networks, Inc.

アジア太平洋地域 CTO ジャスティン・ハースト(Justin Hurst)氏

 AIの可能性は理解できるが、AIで分析も自動化されるようになると、人間は一体何をすればよいのだろうか。ブカリ氏は次のように説明する。

 「この話をすると、AIが人間を置き換えていくのか? 人間のソフトウェアエンジニアは必要なくなるのか? と心配する人がいますが、決してそうではないのです。生産性を上げていく大きな手伝いになる存在になるというだけで、人間のエンジニアも残ることになるでしょう。人間の数が足りない分野でAIがそれを助ける存在になっていくと思います。決してAIがエンジニアの仕事を奪うのではないのです。AIを正しく使うエンジニアが、“AIを使えないエンジニア”の仕事を奪っていくのです」(ブカリ氏)

自動化が最も求められている国だからこそ、AIの積極活用を

 最後にブカリ氏に、日本市場をどう見ているのかについて聞いてみた。

 「日本企業の皆さんにはよくお会いし、お話しする中で一番の課題と思っているのがネットワーク技術者の数です。日本は世界の他の国と比べても、ネットワーク技術者の数が圧倒的に少ない国だと思います。この状況から、自動化が一番求められている国といえるのではないでしょうか。

 ただし、日本文化の特徴から来ているのだと思いますが、日本のお客様は、『完璧な状況と確認されるまでは、新しい技術を導入しない』というケースが多いと感じます。これはネットワーク分野においては、最新の技術動向に遅れてしまうことにつながるためマイナスな側面になりがちです。日本の課題を解決する可能性を持つAIの力を率先して利用する立場になってほしいと思います」(ブカリ氏)

 もう一つのマイナス側面が為替だ。円安が続いているため、「コストを考慮しつつ、より効率よい投資をしていくことが大きな課題になっています。1つのテクノロジーにロックインされてしまったり、これを使わなきゃいけないと選択肢が限られたりするのは避けたいという企業さんが多いですよね。ですから、ライセンス面でも自由度を保てるものを選ぶことをお勧めしたいと思います」とアドバイスする。

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 最後に、こうした厳しい場面にさらされている日本のCIOに対し、ブカリ氏は次のようなメッセージをくれた。

 「日本だけでなく、世界中のCIOに同じことを言っているのですが、CIOの仕事というのは、仕事そのものも、役割や責任も、どんどん変わっていく傾向にあります。それは、新しいテクノロジーが次々に出てきて、それを安全に、間違いのない形で導入してほしいとリクエストがあがってくるからです。

 非常に難しいことを求められているわけですが、CIOの皆さんに改めてお伝えしたいのは、『シンプルで簡単に使えるテクノロジーを選びましょう』ということです。複雑になっているテクノロジーはトラブルが起こりがちです。優れたテクノロジーというのは、シンプルです。わかりやすく、シンプルなものを選択することで、リスクヘッジしていきましょうと強調したいですね」(ブカリ氏)

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この記事の著者

三浦 優子(ミウラ ユウコ)

日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務。1990年、コンピュータ・ニュース社(現・BCN)に記者として勤務。2003年、同社を退社し、フリーランスライターに。IT系Web媒体等で取材、執筆活動を行なっている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/20910 2025/02/12 09:00

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