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HCIを超えた“広範囲なソフトウェアベンダー”へ:Nutanix CTOが示すAI時代のインフラ戦略

生成AI活用に欠かせないデータセキュリティをどう担保できるか

 ブロードコム(Broadcom)によるVMwareの買収以降、レガシーな仮想化インフラ環境からの移行ニーズが高まっている。HCI(ハイパーコンバージドインフラ)、パブリッククラウド、コンテナ環境など様々な移行先候補が挙がる中、市場における期待値が高い移行先の一つにNutanixが挙げられるだろう。同社のソリューションや移行戦略にはどのような強みがあるのか、ニュータニックス・ジャパン 執行役員Field CTO 兼 システムエンジニア統括本部長の荒木裕介氏に話を訊いた。

仮想化ベースのレガシーインフラ刷新が急務に

 Nutanixは2009年に設立され、2011年に最初の製品「Nutanix Complete Cluster」を市場に投入した。HCIのアプライアンスベンダーとしてスタートを切った同社だが、現在はサーバー、ストレージ、ネットワークなどのITインフラをソフトウェアで統合するソリューションも提供する。いまだアプライアンスのイメージが強いものの、NutanixはHCIの枠を超え、より広範なITインフラ領域をカバーするソフトウェアベンダーとして歩みを進めている。現在は、企業がマルチクラウド、ハイブリッドクラウド環境を構築・運用するための様々なソフトウェアソリューションの提供にも力を入れている。

 ニュータニックス・ジャパン 執行役員Field CTO 兼 システムエンジニア統括本部長の荒木裕介氏は、「レガシーな仮想化インフラを抱える企業は、5年・10年先の技術革新にどう対応していくのか悩んでいます」と話す。企業が利用するアプリケーションは進化を続け、AIを活用する新しいプロジェクトも次々に生まれている。これらに迅速かつ柔軟に対応するには、コンテナベースの環境が不可欠だ。既存のレガシーな仮想化環境では、コンテナベースの新たな要求に対応しきれないのが現状であり、「インフラ環境を刷新するタイミングに来ているでしょう」と荒木氏は話す。

 新たな要求に対して個別に環境を移行する方法もあるものの、手間もコストもかかり、運用も複雑になりがちだ。効率的に環境を刷新するには、一貫した仕組みが必要である。しかし、一貫した環境を構築しようとすると様々な課題も生じる。

 その一つが、セキュリティやプライバシーの問題だ。たとえば、製造業では製造に関わる重要情報が工場で管理されるかもしれないし、金融機関では顧客の重要情報を扱う勘定系システムはクラウドに移行できないかもしれない。こうした状況では、機密情報をデータが発生した場所から動かせないため、結果的にマルチクラウドやハイブリッドクラウド環境で運用せざるを得ないのだ。

 データが社内のあらゆる場所に散在している環境下でセキュリティやガバナンスを確保するためには大きな手間がかかり、その過程ではリスクも増大する。「我々は、このマルチクラウドかつハイブリッドクラウドな環境で一貫したセキュリティやデータプライバシーを確保することでお客様に貢献できます」と荒木氏は述べる。

ニュータニックス・ジャパン合同会社 執行役員Field CTO 兼 システムエンジニア統括本部長 荒木祐介氏

強みは“マルチプラットフォームと柔軟性”

 NutanixのHCIに由来する技術的なメリットとして、データレイヤーをマルチプラットフォームで提供できる点が挙げられる。同社はこれを実現するための手段として、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、管理、運用を簡素化するプラットフォームソリューション「Nutanix Kubernetes Platform(NKP)」を提供しており、Container Storage Interface(CSI)ドライバーも揃えている。

 これらを活用することで、NutanixはKubernetesのコンテナ環境において永続的なストレージ環境を柔軟に提供できる。同社のソフトウェアスタックをクラウドネイティブ環境で利用できるようにするCloud Native AOSと組み合わせ、CSIドライバーを介して永続ストレージをKubernetesコンテナにプロビジョニングすることで、コンテナのライフサイクルと独立した状態でデータを永続的に保存することが可能となる。

 加えて、ストレージボリュームのスナップショット取得やクローンの作成にも対応できる。Nutanix Unified Storageはブロックストレージとファイルストレージの両方に対応しており、コンテナアプリケーションの要件に合わせて最適なストレージを提供する。これらはパブリッククラウドでもプライベートクラウドでも実現可能だ。

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ITインフラの運用負荷を軽減するアプローチとは

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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