2025年2月6日、レノボ・ジャパン(以下、レノボ)は、新たな教育パッケージ「Lenovo GIGA School Edition」を発表した。
会見冒頭、同社 執行役員 副社長 安田稔氏が登壇すると「我々は子供たちにテクノロジーの恩恵を届けたいという思いで、長きにわたり教育市場にビジネス展開してきた」として、2017年から教育市場に特化したデバイスなどを投入してきたことを振り返る。2020年からは「みんなでプログラミング」、不登校支援の取り組みとして「Lenovo Metaverse School」などを提供。多くの市場シェアを獲得してきた中、GIGAスクール構想第1期を通して「壊れにくいこと(堅牢性)」「(先生も生徒も)使いたくなること」がデバイスに求められているとした。「USBポートに鉛筆を刺して遊んだ結果、発煙事故が起きるなど、我々も想定しきれない使用状況があった」と同社 教育ビジネス開発部 部長 外山竜次氏は述べる。
そこで、GIGAスクール構想第2期(GIGA2.0)に向けて、堅牢性と使いやすさを反映した新デバイスを投入すると公表した。今回投入されるのは、「Lenovo Duet GIGA School Edition」「Lenovo 500e GIGA School Edition」「Lenovo 300w GIGA School Edition」という3つのモデルだ。
これらのデバイスは米軍調達基準「MIL-STD-810H」への対応だけでなく、より厳しいレノボの独自基準「Lenovo DuraSpec」によるテストを実施しているという。
また、マルチタスク下におけるデバイス利用においては、Windows OS端末はもちろん、Chromebookでもスペック不足を確認しており、新しいデバイスでは5年後でも問題なく利用できるだけの高いスペックを備えているとする。
さらに「使いたくなる」という観点からは、デバイスの利用を促進するような無料ツールに加えて、予備機の運用サービスなども提供。ここにはポプラ社や新学社、日本郵便、大日本印刷などのパートナー企業との協業が寄与しているとした。
「GIGA2.0では、新たな課題が浮かび上がってくるだろう。我々はそれらを洗い出し、対応していく」(外山氏)
たとえば、GIGA2.0ではタッチペンの購入が必要となる中、紛失や故障が多発することが予見される。その場合、純正のタッチペンが高価なため再購入が難しいケースも想定されるという。実際にGIGA1.0の端末導入時にタッチペンを導入した自治体では、最終的に学校側がタッチペンを管理して授業ごとに配布する対応をとったケースもあったとする。加えて、タッチペン側のバッテリー管理も欠かせない。そこで新たなデバイスには、鉛筆(2B以上)を利用できる「ペンシルタッチ機能」を搭載するという。
また、充電ポートの規格がUSB Type-Cに変更されるが、5年間で多くの抜き差しがあることを想定し、USBポートが故障することを想定して2ポート以上を搭載。さらにデバイスのバッテリー消耗を軽減するよう、1,000回の充放電サイクルに耐えられる高耐久性バッテリーを備えているという。「バッテリーの交換費用を2分の1、3分の1に抑えられるだろう」と外山氏。加えて、学校側で運用できない予備機については、レノボが回数無制限・無償で管理・配送するという。このときバッテリーが消耗しないよう定期的に再充電を行うとのことだ。ここは日本郵便や佐川急便など、パートナー企業との協業によるものだという。その他、既存端末の回収サービスも提供するとして、データ消去にともなう物理破壊の証明書を提供するなども無償提供するとした。
「デバイスの堅牢性はもちろん、利活用を向上させるための教育コンテンツの提案、端末の運用コストなど、教職員の負担を軽減していく」(外山氏)
会見の後半には、未来教育デザインの平井聡一郎氏をモデレーターとして、パートナー企業のポプラ社と新学社を迎えたパネルディスカッションが行われた。新学社では、紙とデジタルの特性を生かした「ハイブリッド教材」を提供しており、Lenovo GIGA School EditionでもICT教材を提供するという。またポプラ社は、“こどもっとラボ”という事業を起ち上げており、読み放題型電子図書館「Yomokka!」を提供。同時に複数人が“同じ本”を読むことができ、読書推進にも寄与できるとして、Yomokka!の特別版をLenovo GIGA School Editionに提供するとした。
パネルディスカッションでは、Lenovo GIGA School Editionに2社が教材を提供した理由などに言及。新学社 社長 山本伸夫氏は「これまでハイブリッド教材を提供してきた中、(レノボとの取り組みにより)ICT教材のみを学校現場を届けることで、金銭的な部分で寄与できるだけでなく、より深い個別最適なまなびにも貢献できるのではないか」と述べる。また、ポプラ社 取締役 副社長の平瀬律哉氏は「本という良質なコンテンツをどのように届けるべきか、それを考える中で文具のようにデバイスを使う時代がやってきた。このタイミングを最大の好機と捉えており、電子と紙の本を行き来する新たな体験を提供していく」と話した。
「デジタルかアナログか、どちらかではない。バランスをとることが大切であり、それをデバイスの中で探っていく未来が見えてきた」(平井氏)
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