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人口2,000人強の三宅村がデジタル化で先行するワケ──全島避難によるBCP対策がガバクラ移行を後押し

「カスタマイズしない」「ユーザー負担は最小限に」20年以上IT領域をリードする森氏のこだわり

 伊豆諸島に位置する東京都三宅村では、2023年3月に「三宅村行政改革実施計画」を発表し、デジタル化を加速している。いち早くガバメントクラウドへの移行にも着手し、2025年度末の期限を待たず、2024年2月に完了し、標準準拠版へのシフトは2025年度中の完了を予定している。三宅村のDX推進における戦略、ガバメントクラウド移行の具体的な取り組み、そして日立システムズとの連携について話を聞いた。

小規模自治体におけるデジタル化の課題

 東京都に属する島しょ部の三宅村は、伊豆諸島の一つである三宅島全域を村域としている。三宅島は、東京から南へ約180km、伊豆大島と八丈島の間にある火山島で、島の中央には雄山(おやま)という活火山があり、2000年には噴火が活発化し、全島民が島外避難を余儀なくされた。三宅村の人口は2,210人(2024年12月時点)、昭和40年代半ばから島の恵まれた自然環境をベースにした観光産業が農業や漁業に代わって主要産業となっている。

画像を説明するテキストなくても可
三宅島の観光名所「新鼻新山」(にっぱなしんざん)

 三宅村では、業務改善やデジタル活用の取り組みを進めており、2023年3月には「三宅村行政改革実施計画」を発表した。同村で28年余りにわたりIT領域の企画から取りまとめまでを担当する企画財政課 情報システム担当 係長の森茂夫氏は、デジタル活用の取り組みを進める上での課題として、担当する人員が1人しかいないこと、そしてITリテラシーが不足していることを挙げる。さらに、人口が少ないことから税収も限られており、十分な財源を確保できないことも課題だ。それでも、村民には他自治体同様に多様なサービスを提供しなければならず、費用対効果を生み出しにくい現状がある。そのため森氏によると、基本的なデジタル活用の方針として、「サービス対象が100名以上いなければシステム化しない」と独自の基準を設けているという。

 国などが求めるデジタル化の取り組みは、大規模自治体を想定しているものが多い。島しょ部の自治体では、同様のデジタルサービスを実現しようとしても、人口が少ないために効果を出にくい状況にある。東京都は、島しょ部自治体がそうした状況にあることを理解しており、国などに対しては見直しを要望しているそうだ。

 小規模自治体がデジタル活用を進めるには厳しい状況ではあるが、三宅村では積極的に取り組んでいるのが特長だ。総務省が掲げる「自治体DXの重点取組事項[1]」である「自治体の情報システムの標準化・共通化」「マイナンバーカードの普及促進」「行政手続のオンライン化」「AI・RPAの利用推進」「テレワークの推進」「セキュリティ対策の徹底」という6つの柱は、段階的に取り組みを進めており、残すところは自治体情報システムの標準化・共通化のみとなっている。

 三宅村の自治体DXの取り組みは、他の多くの自治体と比べても早いほうと言えるだろう。たとえば、2020年の特別定額給付金の際に、申請書の読み取りにAI-OCRを試験導入した。スモールスタートで懸念点などを明らかにし、2022年度からはAI-OCRの本格導入に至っている。また、2021年度には、コロナ禍を契機にテレワークでの業務環境を実現し、同時に行政手続きのオンライン化も実施している。

[1] 「三宅村行政改革実施計画」では「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」の第2.0版(2022年9月改定)を参照

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リソース不足を予見し、一刻も早いリフトを決断

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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