最新のPC選定基準は「どこにいても変わらないこと」が必須に
自社にとって最適なPCを導入する──これは昔から変わらず、情報システム部門にとって悩みの種だ。単にスペックが高いだけではなく、いかに予算と見合った形で従業員に喜ばれるものを選定できるか。特にコロナ禍を経て、在宅勤務とオフィスへの出社だけでなく、コワーキングスペースやカフェなどでも業務にあたるビジネスマンは増えており、もはや「ハイブリッドワーク」が定着している状況だ。「コロナ禍では、オフィスで利用していたノートPCを自宅で利用するなど、単に働く場所が変わっただけでした。しかし、今はオフィスを縮小した企業も少なくなく、『どこにいても同じように働けること』が求められています」と話すのは、ITジャーナリストの谷川耕一氏。新たなPC選定の要件が浮かび上がってきたと指摘する。
これまでのように単に外出先でメールをチェックしたり、簡単な作業をしたりするだけでなく、オフィスと同等以上の業務を“場所を選ばず”に行えることは必須の要件だ。加えて、キーワードとなるのが「セキュリティ」と「AI」の2つだろう。
コロナ禍をきっかけに、“ゼロトラストセキュリティ”をキーワードとしてネットワークや周辺機器の強化を図ってきた企業は少なくない。しかし、依然としてランサムウェアやフィッシングなどが猛威を振るっており、エンドポイントである従業員のPCをよりセキュアに保つことは欠かせない。加えて、“生成AI”が定着してきた中、業務効率化のためにも従業員が自由にAIアプリケーションを利用できる環境を担保することも必要だ。
「何もせずに基本的なセキュリティが確保されていることはもちろん、AIを用いたアプリケーションが当たり前となっていく中、スペックを気にせずに利用できる環境が求められています。現時点でオーバースペックだと感じても、1~2年後を見越した選定が必要でしょう」と谷川氏。これまでのように携帯性や堅牢性を重視しながら、予算に見合ったPCを選定するだけでは不十分になってきた。より優秀な人材を採用・確保するという視点に立っても、快適に業務をこなせる環境を整えることは欠かせない。
また、2025年10月にWindows 10のサポートが終了する点も留意すべきだろう。サポート終了後は、セキュリティ更新プログラムの提供がなくなるため、必然的に後継OSであるWindows 11への移行が選択肢となる。脆弱性を突いた攻撃が多発している中、Windows 10を利用している現行機がある場合、早期の選定が必要だ。
では、具体的にどのようなPCを選ぶべきか。今回編集部では、日本HP社に協力を仰いで、前述した要件をすべて満たしている「HP EliteBook 1040 G11」を参考機種として用意。谷川氏に機能性などを評価してもらい、率直なインプレッションを訊いてみた。