SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

  • ニュース
  • 新着記事一覧
  • Security Online
  • DB Online
  • イベント

    EnterpriseZine Special Webinar powered by HENNGE
    2025年5月14日(水) オンライン開催

    【開催予定】EnterpriseZine Day 2025 Summer
    2025年6月20日(金)オンライン開催

    • IT部門から“組織変革”を~気鋭のトップランナーを訪ねる~

      IT部門から“組織変革”を~気鋭のトップランナーを訪ねる~

    • 酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

      酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

    • SaaS ERP最前線──適者生存の市場を勝ち抜く企業はどこに

      SaaS ERP最前線──適者生存の市場を勝ち抜く企業はどこに

  • ブログ

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

EnterpriseZine Special Webinar powered by HENNGE

2025年5月14日(水) オンライン開催

【開催予定】EnterpriseZine Day 2025 Summer

2025年6月20日(金)オンライン開催

HR×Data Forum

2025年5月27日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

セブン-イレブンの生成AI基盤──Google Geminiを活用する「AIライブラリー」とは

 セブン-イレブン・ジャパンが生成AI活用の全社展開を進めている。Google Cloudが3月13日に主催した「AI Agent Summit ’25 Spring」の講演の1つ、「生成AI基盤 “セブン-イレブン AIライブラリー” で真のデータ民主化を実現」で、同社の最新の取り組み内容が紹介された。

1日52億レコードを処理するセブンセントラルデータ活用基盤

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 最高情報責任者 (CIO) 兼 グループDX本部長/株式会社セブン-イレブン・ジャパン 執行役員 システム本部長 西村出氏
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 最高情報責任者 (CIO) 兼 グループDX本部長 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 執行役員 システム本部長 西村出氏

 1973年11月の創業から、1974年5月に豊洲に第1号店を出店してから50年超、今では全国に21,733店舗(2025年3月末現在)を運営するまでに成長したセブン-イレブン・ジャパン。商品を製造する工場は約170ヵ所、物流センターが約160ヵ所、約30ヵ所の本部と地区事務所も約30ヵ所にもなる。また、加盟店オーナーの経営支援を行うOFC(Operation Field Counselor)は約3000人おり、それぞれが担当する7〜8店舗のオーナーの経営支援に日々携わる。

 そして、工場から、共同配送センター、店舗、顧客までを繋ぐサプライチェーンを支えているのが、多くのITシステムである。セブン-イレブンと言えば、古くからITに積極投資をしてきたことで知られる企業だ。その中核が、本部から、店舗、物流センター、取引先までを結ぶ「総合店舗情報システム」である。何度も更新を続けて洗練させてきた店舗システムは、同社の最大の強みである「単品管理」を支えている。

 データドリブンでの単品管理を極め、常に店頭に欲しい商品がある状態を維持する。これを国内21,000以上の店舗全てで実践するともなれば、安全で堅牢なデータ管理基盤が不可欠だ。西村氏が「セブン-イレブン・ジャパンでは、社長から担当に至るまで、毎朝1人ひとりが全店の数字を確認する。これは数10年間やってきた習慣」と語るように、創業以来、データを経営に活かす組織風土が培われてきた。その蓄積を活かし、将来に向けたIT戦略を支えるために構築したのが、データ活用基盤「セブンセントラル」だ。2020年9月から稼働を開始したこの基盤の裏では、Google BigQueryやGoogle Cloud SpannerのようなGoogle Cloudのテクノロジーが動いている。

 このセブンセントラルから、加盟店オーナーはBIツール、従業員や取引先はアプリから、店舗システムや基幹システムのデータにアクセスできるようにした。データへの接続は最短1分でできる。西村氏は、「セブンセントラルが1日に処理するレコード数は52億件にもなる」と述べ、以前は翌日の朝までかかっていたデータ処理が、クラウド上での安全な共有に変わったと紹介した。

「セブン-イレブンAIライブラリー」は攻めと守りの両輪の生成AI基盤

 北海道から沖縄まで、日本全国の店舗のデータがほぼリアルタイムで見られるようになった結果、何ができるようになったか。西村氏は攻めと守りの2つに分けて詳細を説明した。まず、攻めのデータ活用では、新しいサービスの機会創出につながった。その代表例が2022年に専門組織を立ち上げて展開中のリテールメディア事業だ。この事業は、店舗それぞれを広告媒体として捉え、広告主を募るもので、データは広告の展開後にその施策がどれだけ効果的だったかの検証に役立つ。一方、守りのデータ活用では、自然災害の発生時の商品在庫の最適化の例を西村氏は挙げた。被災地の周辺店舗にどんな商品在庫があるかを把握できるようにしておけば、いざという時に適切な打ち手を講じることができる。

 西村氏は「セブンセントラルを構築した時の目標は、いかにコントローラブルなデータ基盤を作るかだった」と構築当時を振り返る。前述のような新しいユースケースが生まれたが、課題も認識していた。それは自由にデータにアクセスできる人たちが限られていたことだ。もちろん、IT部門に所属しているデータエンジニアのような専門知識がある人たちは問題ない。しかし、大多数の社員はやりたいことの手前で、一度IT部門に依頼しなくてはならない。データドリブン経営の先駆者としての自負があるからこそ、全社員が自由にデータを使える状態を作らなければならないと同社は考えた。この「データ民主化」の実現に向けて選択した解決策がリスキリングである。しかし、これを徹底するのは現場への負荷が大きく、時間がかかる。そこで同社は生成AIに目を付けた。

 セブン-イレブンの生成AIジャーニーは、2023年5月の生成AIに関する社内啓発から始まった。同年8月に生成AI基盤「セブン-イレブンAIライブラリー」を構築し、11月から役職者及びシステム本部員を対象とする範囲を絞っての活用が始まった。生成AI活用を始めるにあたり、同社が懸念したのは当時から話題になっていたハルシネーションだ。そこで、データの漏洩対策を施した上で、良いところを見つけることを優先する決断をした。その後、多くの試行錯誤を繰り返し、2024年9月に他本部を含む全面的な活用が可能になった。

次のページ
UIからプロンプト共有まで:試行錯誤で磨いたAIライブラリーの使いやすさ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/21802 2025/04/15 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング