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“止められない”システムの運用管理の現場で今求められていることは? 日立製作所「JP1」からひも解く

複雑化する金融システムの課題と対策──4社の視点から “最適解”を探る:日立製作所の視点

 長年にわたり日本のエンタープライズシステムの安定稼働を支えつづけてきた、日立製作所の統合システム運用管理「JP1」。システム停止が許されない金融機関など、ミッションクリティカルシステムを抱える企業で利用されている。近年、そうした領域においても、クラウドやAIなどの先進技術を積極的に取り入れる動きは活発化する中、どのような課題を企業は抱えているのか。EnterpriseZine編集長の岡本が日立製作所 高木将一氏に話を聞いた。

「システムの安定稼働」と「最新技術の導入」のジレンマ

岡本(EnterpriseZine編集長):JP1は統合システム運用管理ソフトウェアの代表的な製品として、非常に長い歴史と高いシェアをもっていますね。

高木将一氏(以下、高木):おかげさまでJP1は、2024年度に30周年を迎えることができました。

岡本:そんな歴史の中で培ってきた高い信頼性に支えられて、金融機関や特定社会基盤事業者など、大規模かつミッションクリティカルなシステムを運用する多くの企業もJP1を導入しています。そのような企業は当然「システムを絶対に止めてはいけない」という前提でシステムを運用していますが、その一方でクラウドやAIなどを積極的に導入する例も増えてきました。

高木:金融のお客様でも、顧客接点を担うシステムやデータ連携・分析基盤などの領域ではクラウドの導入が進んでいるように思います。一方、基幹系システムに関しては、依然としてオンプレミス環境で運用している金融機関が多くを占めています。結果として、クラウドとオンプレミスが混在するハイブリッドクラウド環境が一般的になってきています。

株式会社日立製作所 クラウドマネージドサービス本部 運用管理プロダクト&サービス部 部長 高木将一氏
株式会社日立製作所 クラウドマネージドサービス本部
運用管理プロダクト&サービス部 部長 高木将一氏

岡本:金融機関を取材している中で、私も同じような印象をもっています。多くの企業でハイブリッドクラウドやマルチクラウドの利用が広がる中、やはり「システム運用管理の複雑化」という課題に直面するケースが多いように感じます。

高木:オンプレミスとクラウドを連携させた業務システムを構成することで、業務の効率化や柔軟性の向上を達成した半面、システムの管理・監視が複雑になってしまったり、システム全体を“統合的に管理”することが難しくなってしまいました。特に金融機関や特定社会基盤事業者の場合、システム障害時の原因特定や復旧が遅れてしまうと社内外に多大な影響を及ぼしてしまいます。そこで最近では、生成AIを活用して障害対応を効率化するソリューションなどにも注目が集まっています。

岡本:金融機関や特定社会基盤事業者というと、どうしても「枯れた技術を好む」という印象が強いのですが、AIなどの新技術の導入にも積極的なのですね。

高木:これまで通りサービスやインフラの安定供給を最優先に掲げつつも、クラウドやAIを使って業務を効率化したり、顧客の体験レベルを上げたりしたいというニーズも増えてきました。ただし、一般的にこの両者は相反する要件になりがちなので、どのように導入すべきか、お悩みのお客様もいらっしゃるようです。

オンプレミスとクラウドが混在する今、高可用性をどう担保する?

岡本:JP1は、かなり早くからクラウドに対応されていますね。

高木:JP1はマルチプラットフォーム対応の製品で、AWS(Amazon Web Services)の東京リージョンが稼働した翌年の2012年頃からクラウド環境上での稼働をサポートしています。また2021年には、JP1自体をSaaSサービスとして提供する「JP1 Cloud Service」という商品もリリースしました。

岡本:そうした対応を進めたことで、クラウド環境に構築されたシステムの運用管理もJP1を通じて支援されてきたと思います。クラウドならではのシステム運用管理の難しさをどのように感じられていますか。

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部 編集長 岡本拓也
株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部 編集長 岡本拓也

高木:システム障害が発生した際の対応やシステム復旧において、オンプレミスとは異なる考え方が必要です。意外と多くの方が「クラウド事業者に任せておけば大丈夫」と考えていますが、それだけではオンプレミスと同等のサービスレベルはなかなか達成できません。万が一に備え、オンプレミス環境で多く利用されてきたクラスターソフトウェアをクラウド環境にも導入することで高可用性を担保することも重要です。障害時におけるフェイルオーバーの仕組みを構築することで、「クラウドのメリット」と「オンプレミスと同等の可用性」を同時に手に入れることができます。

岡本:特に金融機関のようにミッションクリティカルシステムを運用している企業では、なおさら高可用性を担保することが大切ですね。ちなみに「クラウド上でJP1を用いてシステム運用管理を行いたい」というニーズは、金融機関にも多いのでしょうか。

高木:はい、多くのお客様から要望をいただいています。JP1は先ほどの通り、クラウド上での動作をサポートしていて多くの実績もあります。ただし金融機関のお客様からは、「オンプレミスと同等の高可用性を担保したい」という声も多くいただきます。特にバッチ処理のジョブ管理を担う「JP1/Automatic Job Management System 3(JP1/AJS3)」については、もしトラブルが発生すると業務全体に極めて大きな影響を及ぼしてしまうため、クラスターソフトウェアと組み合わせて高可用性を担保するケースが非常に多いですね。

「JP1」の安定稼働を守る、クラスターソフトウェア

岡本:実際にJP1のユーザーからは、クラスターソフトウェアと組み合わせたいというニーズは多く上がってきているのでしょうか。

高木:そうですね。JP1には障害発生時の対応を自動化する機能は備わっているのですが、単独で可用性を担保できませんから、高可用性を担保するためにはクラスターソフトウェアと組み合わせることが一般的です。お客様からも、「クラウド上でJP1をクラスターソフトウェアと一緒に動かしたい」という要望を多くいただきます。

岡本:クラスターソフトウェアにはさまざまな製品がありますが、その中でも「LifeKeeper」に関しては、日立製作所がサイオステクノロジーの提供するドキュメントを確認し、実証検証を経て、正式にサポートしていますね。

高木:はい、長きにわたってJP1とLifeKeeperの組み合わせを正式にサポートしています。特にニーズの多いJP1/AJS3の高可用性構成については、サイオステクノロジーからLifeKeeperの「Application Recovery Kits(ARK)」と呼ばれる、組み込み作業が楽になるオプション製品が提供されており、短期間でLifeKeeperによるクラスター構成を組むことができます。もちろん、JP1/AJS3以外のJP1製品についても、数多くの実績があります。

岡本:ミッションクリティカルシステムのクラスター構成には「高い信頼性」が求められるだけに、しっかりと事前検証した上で正常動作を保証している点は、ユーザーにとって安心感がありますね。一方、クラスターソフトウェアのような製品は、万が一のトラブルに備えるための「保険」と捉える経営層も多く、その投資対効果を疑問視する声も聞こえてきます。

高木:たしかにITコストの削減に対するプレッシャーは、業種業界問わずに共通して存在していると思います。しかし、システムトラブル時にすべての対応を人手で行った際の工数は、クラスターソフトウェアの導入コストをはるかに上回ります。もしサービス停止にまで至ってしまうと、ビジネス機会を逸してしまうだけでなく、企業の信頼も失墜しかねません。そうしたリスクまで勘案すると、システムの可用性を担保するためのIT投資の重要性をご理解いただけることでしょう。

生成AI、オブザーバビリティなども活用して運用高度化へ

岡本:ここまで話してきたような環境やニーズの変化に対して、JP1ではどのように対応しているのでしょうか。

高木:最新のJP1やJP1 Cloud Serviceでは、クラウド対応や生成AIを活用した機能など、大幅に強化しています。たとえば、オートメーションの「JP1/AJS3」や「JP1 Cloud Service/Job Management(JP1 CS/ジョブ管理)」ではクラウド連携機能を強化しており、バッチ処理の途中でAmazon S3やAWS Step Functionsを用いたジョブ設計が可能です。

 また、オブザーバビリティ商品の「JP1/Integrated Management 3(JP1/IM3)」や「JP1 Cloud Service / System Management(JP1 CS/システム管理)」の機能も強化しています。先ほどの通り、お客様のシステム構成は極めて多様化していますので、それらを効率的に監視し、万が一の障害発生時の対応を迅速化するためのオブザーバビリティの重要性は非常に高まっています。そうしたニーズに応えるため、JP1/IM3やJP1 CS/システム管理のオブザーバビリティ機能の拡充には特に力を入れています。

岡本:JP1は生成AIを活用する機能強化も進めているのですね。

高木:先ほど紹介した「JP1 CS/システム管理」では、生成AIと連携することで、お客様の対応マニュアルを自動引き当て、一時対処の方法などを提案することができます。この機能により、障害発生時にトラブルシューティングをより効率的に行えます。

岡本:こうした運用の高度化につながる機能追加は、ユーザーからの支持も集めそうです。一方、どれだけツールが進化しても、それを使いこなせるだけの体制や人材が整っていないと、宝の持ち腐れになってしまいますよね。

高木:そうですね、システム運用管理の課題解決に取り組む上では、組織の問題は避けて通れません。最近では「SRE(Site Reliability Engineering)」を設ける企業も増えてきましたし、日立製作所としても「JP1 Cloud Service / Operations Integration」で運用の自動化や改善、ナレッジの蓄積・活用といった機能を提供することで、お客様による運用改善の内製化の取り組みを支援していきたいと考えています。

 これまでJP1はどちらかといえば、運用管理の担当者の方に使っていただくことが多かったです。しかし、これからはお客様のSREや内製化のニーズにも応えられるよう、開発者の方々にもメリットのある環境を提供していきます。

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