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ソニー銀行の新勘定系システムを安定稼働に導いた「メール配信」の真価 銀行の当たり前を守る絶対要件とは

富士通・ユミルリンク・ソニー銀行3者で築いた「次世代デジタルバンキング」のコミュニケーション基盤

ミッションクリティカルな取引の要はメール? 顧客の資産を守るために

 銀行業務において、勘定系システムはミッションクリティカルであり、特に決済や入出金といった基本的な業務が最も重要視される。顧客が自身の大切な「お金」を日々安心して預けたり引き出したりできることは基本要件だ。

 このミッションクリティカルな顧客体験を支える上で、メール配信は極めて重要な役割を担っている。「ソニー銀行は、お客様に寄り添う姿勢をもとにサービスを運営しています」と西沢氏。そのため同行では、一つの取引ごとに必ず通知メール(トランザクションメール)を配信しており、そのメールが顧客に届いたかどうかを、取引が成立したか否かを判断する重要なポイントとして認識しているという。この配信結果は、IT部門だけでなくユーザー部門も強く気にする部分だ。

 この観点を踏まえ、新勘定系システムにおいてもメール関連機能にはこだわったと西沢氏。顧客体験を向上させるためのスピーディーなメール配信が可能なリアルタイム性に加え、フィッシングメール対策を踏まえたセキュリティの充実性も求める要件とした。さらに、万が一障害が発生した際の運用保守における迅速な対応や高い稼働率も欠かせない。

 これらの要件を満たしたのが、ユミルリンクの提供するメールリレーサービス・メール送信API「Cuenote SR-S」だった。「Cuenote SR-Sの選定ポイントは、クラウド環境に最適化されたAPI型メールサービスである点でした」と述べるのは、今回のプロジェクトを富士通側で率いた西坂友宏氏だ。

 当時、ユミルリンクはAPIを駆使したクラウド連携において先駆けた存在と評価されていたことに加え、国内ベンダーならではの細かなやり取りや迅速なサポート体制が手厚い点も採用を決めたポイントだったという。また、「クロスバンクが目指す先進性やスピード感と、Cuenote SR-Sの技術的な方向性が合致していると感じられたことも採用の決め手となりました」と西坂氏は述べる。

富士通株式会社 グローバルデリバリーBG ジャパン・グローバルゲートウェイ E&F ITS Division Banking Service G 西坂友宏氏

70万通の大量配信も安定稼働、運用負荷を軽減する仕組みとは

 クロスバンクにおいてCuenote SR-Sは、取引に対するトランザクションメールやデビット決済など、一斉配信を要するバッチメールといった顧客に対するメール配信全般を担う。顧客に対してメールを一斉に送信するため、配信数は膨大になるケースが多く、高い安定性と可用性が求められる。

 実際、新勘定系システムでは、デビット決済の処理において1時間あたり70万通強もの大量配信を安定稼働させている。これは旧システムの要件と比較して2倍以上のスピードを実現していることになる。「Cuenoteシリーズは国内最大規模となる月間81億通の配信実績をもち、CuenoteシリーズSR-S単体では毎時340万通[1]の高配信性能を誇るため、大量配信に強みがあります」と説明するのは、ユミルリンク マーケティング本部 マーケティング部 シニアマネージャーの佐藤日和氏だ。

 この大量配信が実現できている背景の一つに、要件に合わせたサーバーの提供が挙げられる。ユミルリンクが提供するサービスは、「共用サーバー」で提供するものと「専用サーバー」で提供するものに分けられており、「大量配信が必要な企業に対しては、その企業専用のサーバーを用意しています」と佐藤氏は述べる。サーバーを分けることで、顧客の要件に合わせた最適な配信方法を提案しているのだ。

ユミルリンク株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 シニアマネージャー 佐藤日和氏

 Cuenote SR-Sの技術的な強みは、20年以上の配信実績とノウハウをもとに、GmailやMicrosoftなどの各メールキャリアの評価変動を考慮し、「送りすぎないよう自動でチューニングする機能」を備えている点にある。旧システムのメール配信機能では、このチューニングを手動で利用者が行う必要があったが、「Cuenote SR-Sを採用したことで、運用保守の負荷が大幅に軽減されています」と西沢氏は評価する。

 その上で、新勘定システムのリリース後もトラブルなく安定稼働を実現している。「Cuenote SR-SにはAPIが豊富に用意されているため、エンジニア目線から見ても監視や保守がしやすいという利点があります」と西坂氏は評価する。

 もう一つ、新勘定系システムの移行時に重要なポイントとして認識されていたのがサポート体制だ。システムへの移行にともない、IPアドレスやドメインが完全に刷新されるため、メール送信者のIPアドレスやドメインの「評判」を評価して迷惑メールかどうかを判断する仕組みである「レピュテーション評価」を上げていくことが不可欠であり、そこに課題があったと西坂氏は話す。

 これを受け、ユミルリンクは移行計画の策定段階からレビューという形でメールベンダーとしての知見を提供。また、計画通りに進まない外部の評価変動に対しても、ユミルリンクは富士通と適宜打ち合わせを行い、IP数の妥当性の評価や、ブロックが発生した際のキャリアへの解除申請を迅速に行った。「こうしたサポート体制が、プロジェクトの成功に大きく貢献しました」と西坂氏は述べる。

 ユミルリンクでは、この長期にわたる大規模プロジェクトの重要性を認識し、「社内全体で複数人が臨機応変に対応できる体制を敷き、通常よりも手厚いサポートを実施しました」と佐藤氏。特に、「メールを止めてはいけない」というミッションクリティカル性への対応として、24時間365日対応の障害窓口を提供している点が大きな安心材料になったと西坂氏は振り返る。

[1] 1社占有ASPサービス環境による、1時間あたりのリレー配信実績値

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メール配信を超えた「コミュニケーション基盤」へ:3者が掲げる構想

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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提供:ユミルリンク株式会社

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