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ソニー銀行の新勘定系システムを安定稼働に導いた「メール配信」の真価 銀行の当たり前を守る絶対要件とは

富士通・ユミルリンク・ソニー銀行3者で築いた「次世代デジタルバンキング」のコミュニケーション基盤

 デジタル化の加速による顧客ニーズの多様化と競争激化が顕著となっている金融業界。競争優位性を確保するカギとなるのが、システムの中核を担うミッションクリティカルな勘定系システムだ。ソニー銀行はビジネスアジリティの向上を目指し、2025年5月6日より次世代デジタルバンキングシステムの稼働を開始。このシステムには、富士通のクラウドネイティブな次世代勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank」が採用されている。そして、このミッションクリティカルなシステムの中核で顧客との重要なタッチポイントを支えているのが、ユミルリンクが提供するエンジニア向けメールリレーサービス・メール送信API「Cuenote SR-S」だ。

勘定系システムの「完全クラウド化」に舵を切ったソニー銀行

 ソニー銀行は2001年に開業したインターネット専業銀行で、個人のお客様のための利便性を重視したサービスが特長だ。ネット銀行として初めて住宅ローンの取り扱いを始め、円預金や外貨預金、カードローン、投資信託、FX、投資型クラウドファンディングに至るまで多様な金融商品を展開している。

 そんなソニー銀行は開業以来、オンプレミス型の勘定系システムを長期にわたって運用してきた。しかし、デジタルバンキングの進展や顧客ニーズの多様化、競争の激化により、システムの柔軟性や拡張性、スピード感が新たに求められるようになってきたことで、既存システムに限界を感じはじめていたという。また、金融業界全体ではクラウド化やAI活用が進む中、今後のビジネス環境変化に迅速に対応できる体制を構築する必要があると考え、「クラウドオンリー」のシステム基盤へ移行することを決定した。

 同行は将来を見据え、システム刷新の大きな柱として「クラウドネイティブ化」を掲げた。「顧客にとって安心安全なインフラ基盤を金融機関として提供しつつ、他にはない独自の視点で商品サービスを創出していくことが狙いです」と話すのは、ソニー銀行 IT推進部長の西沢陽子氏だ。

 金融機関の勘定系システムにはいまだにメインフレームが数多く残る中、同行では基盤から変革して競合との差別化を図るべく、2013年からAWSをはじめとするクラウドサービスの本格利用を開始。周辺系領域からクラウド環境への移行を進め、2025年5月、クラウドネイティブな「次世代デジタルバンキングシステム」が稼働している。

 この次世代デジタルバンキングシステムの基盤に採用されているのが、富士通の提供する「Fujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)」である。クロスバンクはクラウド上で動作することを前提に設計・構築されており、ビジネス環境の変化に応じた最適なシステムリソースの活用を可能とする。経営戦略の迅速な実行をバックエンドから支援するソリューションだ。

 ソニー銀行は開業時の勘定系システムから、その構築、運営の支援を富士通に依頼してきた。長期にわたり協業してきた実績と、システム面での力強い支援が、この刷新プロジェクトでも富士通に協業を依頼した大きな理由だと西沢氏は説明する。

ソニー銀行株式会社 IT推進部長 西沢陽子氏

 クロスバンクを活用したソニー銀行の次世代デジタルバンキングシステムは、Amazon Web Services(AWS)上の240を超える豊富なサービス群を活用した完全なクラウドネイティブシステムとして構築された。先行してクラウド化を進めてきた周辺システムと合わせ、同行では勘定系を含めたほぼすべてのシステムにおいてクラウド化を実現している。

 クロスバンクの特徴の一つに、アプリケーションを機能ごとに独立した小さなサービス群として構築する「マイクロサービスアーキテクチャ」の開発手法を採用している点が挙げられる。この仕様により、プログラム資産規模を従来の40%に削減できた一方で、勘定系システムでは連続性を必要とするサービスが多いことから、ACID特性(原子性、一貫性、独立性、持続性)の実装に課題があった。

 そこで富士通は、データの一貫性保証が必要な処理を見極め、必要な箇所で同期性を担保する独自の実装方法を適用することで、マイクロサービスアーキテクチャ適用にともなうデメリットを克服したのだ。この疎結合な構造により、システムの柔軟性が高まり、ビジネスロジックの切り出しや変更が容易になった結果、新しい技術も取り入れやすい基盤となっている。

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ミッションクリティカルな取引の要はメール? 顧客の資産を守るために

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