AI時代にもなぜ炎上プロジェクトが生まれるのか IT部門が見直すべき「3つの統制」
AIで高速化しても炎上は止まらない 大型案件の成否を分けるマネジメントの勘所
AIは、システムをかつてない速さで作ることができる、新たな時代をもたらしました。裏を返せば、要件定義を誤れば間違ったものを猛烈な速さで作り上げてしまう時代でもあります。数十億円を投じた開発プロジェクトが炎上すれば、結末は「機能不全」「予算超過」「遅延」に収束し、責任を負うのはIT部門です。だから今、本当に見直すべきなのは、AIを使いこなすための要件定義とそれを支える統制です。本稿では、IT部門がにぎっておくべき「3つの統制」を整理します。
なぜエンタープライズの大型案件は炎上するのか
エンタープライズ企業において、基幹・業務システムの刷新プロジェクトが炎上したとき、その結末はおおよそ次の3つに収束します。そして、最終的に説明責任を負うのは、多くの場合がIT部門です。
- 機能不全で現場に使われない
- 予算超過で経営に説明できない
- 遅延により、事業機会と社内の信頼を失う
私はこれまで多くの大型プロジェクトを見てきましたが、炎上の原因が実装にあった案件はほとんどありません。勝負は開発が始まる前、要件定義の段階で決まっています。現場ヒアリングの不足、技術検証の不足、意思決定者の不在、要件変更の無秩序化……こうした問題が積み重なり、開発が始まる頃には、既に炎上の芽ができているのです。とりわけエンタープライズ企業では、現場が読み解けない専門的なドキュメントで合意をとり、「合意したつもり」のまま開発が進むことも少なくありません。
こうしたやり方でも、昔は回っていました。業務が比較的安定し、変更も限られていた時代は、「IT部門が要件を整理し、ベンダーが作る」という進め方でも大きな問題になりませんでした。
しかし、市場変化は速くなり、SaaSやクラウド、AIを前提とする現在では、最初に要件を固定して進めること自体が難しくなっています。それでも昔の進め方が残り、実際に使わない側が要件を決める構造が“現場とのズレ”を広げています。
つまり、炎上の責任をベンダーだけに求めても、同じ失敗は繰り返されるのです。そのため、IT部門が最初に見直すべきなのは、「評価指標」「承認ゲート」「権限設計」の3つだと考えています。この3つを統制できるかが大型案件の成否を決めます。
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松本 均(マツモト ヒトシ)
株式会社ROUTE06 創業取締役 / Acsim事業責任者ベイカレント・コンサルティングにてITコンサルタントに従事した後、楽天株式会社およびヤフー株式会社にてEC・広告システム・データプラットフォーム領域の設計・開発を担当。ストライプデパートメントにて執行役員CTO、Welbyにて執行役員/開発...
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