「ITを知らない経営層」が投資を判断する実態……日本の製造業が手本に? 失敗しないIT戦略の描き方
第1回:なぜ日本のITプロジェクトはうまくいかないのか? 生成AI時代でも変わらない本質とは
日本企業で推進されるITプロジェクトの多くは掛け声倒れに終わりがちです。その最大の原因は何でしょうか。25年以上にわたり100社超のITプロジェクトに携わってきた著者が、新著『IT戦略の基本が全部わかる本』(翔泳社)で示した結論は、技術でもベンダーでもなく「意思決定者のリテラシー」にあるということ──連載「なぜあなたの企業はITで稼げないのか? 橋本将功氏が問い直す“IT戦略のキホン”」では、『IT戦略の基本が全部わかる本』をもとに各章の核心となる主張とフレームワークを紹介しながら、生成AIの時代にこそ問い直すべき“IT戦略の本質”を示します。
案件600件超を経験して見えた、失敗する構造的要因
「これからはAIだ」「全社でDXを推進する」──ある日突然、経営層からの号令でプロジェクトが立ち上がります。具体的なゴールも予算の裏付けもないまま、情報システム部門(情シス)に「なんとかしろ」と降ってくることもしばしば。
しかし、四半期、半年、1年と時が過ぎていくごとに経営層の関心は別の“バズワード”に移り、プロジェクトが終わるころには経営者の投資意欲がなえてしまっていることも少なくありません。結果として、追加予算の申請や要件の増大にともなう再計画、追加投資も承認されず、成果がモノになる前に消化試合のようになってしまいます。
こうした光景に既視感がある方は多いのではないでしょうか。過去30年以上にわたり、Web2.0、クラウド、ビッグデータ、IoT、メタバース、ブロックチェーン、DX──技術トレンドが変わるたびに「同じパターンの失敗」が繰り返されてきた組織は珍しくないでしょう。「世の中の技術や海外の企業の事業はどんどん進歩しているのに、ウチがやっていることは実質数十年前と変化がない......」と悩んでいる人も多いはず。
筆者は25年以上にわたり、100社超・600件以上のプロジェクトのリードとサポートを実施してきました。大企業から中小企業、スタートアップまで、発注者側でもベンダー側でもプロジェクトのリードを行い、現在は新規事業やDX(業務改善・組織改革)をメインとして関わっています。
プロジェクトの成否を握っているにも関わらず、最も攻略が難しい要素は「人」だと筆者は考えています。過去には現場で闘う情シスプロジェクトリーダーに向け、人に焦点を当てたプロジェクトの「あるある失敗パターン」から編み出したコツやヒントをお届けする連載も担当してきました。
【過去の連載一覧はこちら】
しかし、とりわけ日本企業のITプロジェクトについて、「社長の肝いり」であったはずのプロジェクトが繰り返し掛け声倒れに終わってしまうことには、ある構造的な原因があると気がつきました。本連載では、その原因と打ち手を全8回にわたって明らかにしていきたいと思います。
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橋本 将功(ハシモト マサヨシ)
パラダイスウェア株式会社 代表取締役
早稲田大学第一文学部卒業。文学修士(MA)。IT業界25年目、PM歴24年目、経営歴14年目、父親歴9年目。 Webサイト/Webツール/業務システム/アプリ/組織改革など、500件以上のプロジェクトのリードとサポートを実施。「プロジェクトマネジメントの民主化」の実現...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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