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GenAI登場で大きく変わったAI開発者の仕事、WorkdayのAIリーダーが重んじる開発の哲学とは

ナイキのAI責任者を経てソフトウェア企業へ、AIの変遷とともに歩んできたシェーン・ルーク氏に尋ねる

生成AIだけが最適解ではない、大切なのは技術を見極めること

 また、最近は生成AIが半ばバズワードになっていることもあり、何でも同技術で解決できるという根拠なき期待が寄せられがちになっているが、同氏は目的に応じて適切に技術を使い分けることの重要性を指摘する。

 「生成AIは他のテクノロジー以上に多くのことを実現できる技術ですが、その多機能性ゆえに過剰な適用をしてしまうケースも少なくありません。特定のタスクに特化して調整された小規模モデルのほうが効率的なことも多分にありますし、安全性に関しても小規模モデルのほうが基本的にはコントロールが効きやすいです。能力が限定されている分、余計な出力を生成する可能性が低いからです」(ルーク氏)

 ただしAI開発者としての視点から、「生成AIを他のAIと異なるもの、異質なものとは考えていない」と同氏。AIに限らず、あくまでも適材適所で技術を選ぶことが重要だと、技術選択の本質を語った。

現在のAI市場の構造についてはどう思う?

 AI市場の現況についても見解を伺ってみた。現在、大規模モデルの実行・訓練・管理を自前で行える企業は、Microsoft、OpenAI、Anthropic、Google、Amazon Web Services(AWS)、Metaなど少数に限られる。こうした状況が続くことで、市場が一部の企業に支配されていくことを懸念する声もある。

 ルーク氏は「どこまでをAI市場と捉えるかにもよるが、たしかに現在の市場は、そうしたごく少数の企業が支配する構造になっているとも言える。いわゆる“支配者”の数が数百社に増えるようなことは今後も起こらないだろう」としたうえで、開発における公平性の確保が重要だと指摘した。

 「Workdayは独自のAIを構築している一方で、同時に他のAIを利用する立場でもあります。今挙げたようなビッグテックのプレイヤーが提供するAIを消費している顧客でもあるわけです。そうした立場から言えば、可能な限り公平で公正な環境を確保したいと考えています」(ルーク氏)

AIが企業の計画プロセスに破壊的な変化をもたらす可能性

 ルーク氏が現在注目している技術トレンドについても尋ねた。同氏は、複数の異なるAIモデルやシステムが連携して動作する「モデル間相互運用性」に注目していると述べた。AnthropicのMCP(Model Context Protocol)や、GoogleのA2A(Agent to Agent Protocol)などといった技術により、異なる専門性を持つモデル同士が協働できるようになってきている。

 「すべてのタスクを実行する単一のシステムではなく、どのタスクを実行すべきかを知るインテリジェントエージェントと、実行を担うタスク特化型のモデルを効率的に併用することで、さらなる価値を得られるようになると考えています」(ルーク氏)

 最後に、Workdayでルーク氏が直近でさらに強化したい、あるいは今後提供するかもしれない技術・製品について聞いてみた。同氏は「財務監査製品の開発」「採用分野でのAI活用拡大」「計画プロセスへの深いAI適用」の3つを挙げた。

 特に、計画プロセスにおいては多くのインテリジェンスを必要とする。企業には経営や事業、ITなど様々な分野で計画を担う人物がいるが、「AIはそんな人たちにとって優れたパートナーになるはずだ」とルーク氏。AIの力により、今後数年間で企業の計画策定の在り方に破壊的な変化がもたらされる可能性があると言及した。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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