“信用に耐えうる”データ活用へ 保護と活用の両輪で進める
また、データ活用を進めるうえで、同時に考えなければいけないものとして「データ保護」の問題がある。特に金融機関は、情報漏洩が許されないクリティカルな情報・データを取り扱うからこそ、厳格なルールとシステム構成が求められるだろう。「今回の取り組みにおいても、中国銀行の内部基準に沿って厳格に基盤構築を進めていく」と山縣氏は語る。
SAS Viya内には、データガバナンス、透明性、監査を担保する仕組みを実装するという。これにより、ヒューマンエラーを防ぎ、データの信頼性、すなわち“信用に耐えうる”データ活用をテクノロジー面で担保していくとのことだ。
そのほか、今回の基盤導入で中国銀行のチャネル戦略にも変化が生じる可能性がある。従来重視されてきた対面チャネルはもちろんのこと、中銀アプリや法人向けビジネスポータルといった非対面チャネルの充実を図るという。同行では、非対面の有人チャネルとして顧客が資産運用サポートを受けられるよう、コールセンターでの対応を強化する組織を2024年4月から展開している。
山縣氏は「リアルとデジタルをバランスよく連携できるようにしたい」と語る。今回のデータ基盤は、どのチャネルから接触しても、パーソナライズされた対応を可能にするための重要な中核を担うとのことだ。
今回のアナリティクスAI基盤の導入は、単なるITシステムの刷新ではない。これは、中国銀行の「思いをつなぐDX」を具現化し、地域社会と顧客の豊かな未来を創造するための“共創プラットフォーム”構築の中核をなすものだ。2027年1月の稼働に向けて、この取り組みがどのように地域経済の持続的な成長を支え、グローバル水準のデータ・AI活用ノウハウを地域に還元していくのか。今後の動向が注目される。
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