SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2026 Spring

2026年3月 オンライン開催予定

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

EnterpriseZineニュース

Illumioが訴える「封じ込めの時代」の到来、“徹底的な予防”のセキュリティはもう機能しない?

 セキュリティの“侵害封じ込め”プラットフォームを提供するIllumio(イルミオ)は2025年11月6日、年次フラッグシップイベントの日本版「Illumio World Tour 2025 Tokyo」の開催に合わせて記者説明会を行った。

 ワールドツアーの日本開催は今年が初めてとなるIllumio。本国から創業者兼 CEOのアンドリュー・ルービン氏も来日した。ルービン氏は「2000年代は、侵入をいかに許さないかが重視される『予防の時代』だった。そして2010年代に入ってからは、EDRなどを導入して脅威をいち早く見つけ出す『検知の時代』が続いてきた」と話す。しかし、そのセキュリティモデルは今や機能しなくなっていると指摘する。

Illumio 共同創業者 CEO Andrew Rubin(アンドリュー・ルービン)氏
Illumio 共同創業者兼 CEO
Andrew Rubin(アンドリュー・ルービン)氏

 「サイバーセキュリティへの支出は世界中で年々増え続けていますが、サイバー犯罪による損失額はまったく減少していません。それどころか、むしろ年々右肩上がりで上昇しています。これは、防御側がセキュリティに多額のコストを費やしているものの、上手く機能していないことを意味します」(ルービン氏)

 そこで同氏は、新たに「封じ込めの時代」へとシフトすることが必要だと訴える。コロナ禍の前後で、セキュリティの潮流は境界防御(予防の時代)からゼロトラスト(検知の時代)へと変化し、EDRやXDR、SIEMの導入が日本でも急速に進んだ。しかし攻撃者は、AIを用いて攻撃を大規模化させたり、GPTやディープフェイクなどを悪用した巧妙な手口を新たに生み出したりと、防御側の対応を上回る速度で進化を続けている。これでは、もはや侵入を完全に阻止することは不可能だ。そこで、「被害を未然に防ぐ」という考え方から、「いかに被害を阻止するか、抑えるか」という考え方に転換すべきだというのが同氏の主張だ。これが「封じ込めの時代」が意味するところである。

 Illumioはこうした変化に対し、自社が提供するプラットフォームを「侵害封じ込めプラットフォーム」と称する。それを体現するのが、同社の象徴的な技術ともいえる「AI セキュリティグラフ」だ。「ワークロード、フロー、依存関係を継続的にマッピングする、あらゆるネットワークの神経系ともいえるテクノロジー」だと同社は説明する。

 また、“装飾(デコレーティング)”という機能により、ネットワークを可視化するだけでなく、通信が行われた時刻や時間、通信内容などといった詳細情報をグラフ上に紐づけ、コンテキストを把握できるという。グラフは単に静的なマッピングやログの山を示すだけでなく、AIによってリアルタイムかつ動的な情報を可視化する。昨今激化するラテラルムーブメントの兆候をいち早く発見できると同社はアピールしている。

 この技術を搭載した新ソリューションが、今年の7月末より提供開始されている「Illumio Insights」だ。AI セキュリティグラフを活用して脅威を検知するソリューションだが、ルービン氏は「既存のEDRやNDR、CDRとは異なる概念のソリューションだ」と話す。その特徴は、1つのソリューションでデータセンターからクライアントのPCまで、あらゆる環境とネットワークを可視化・検知できる点にある。もちろん、ハイブリッド/マルチクラウド環境にも対応している。

 Illumio Insightsの提供開始により、同社はこれまでの「マイクロセグメンテーションのベンダー」という立ち位置から、セキュリティベンダーとしての存在感を強めていくだろう。

 日本での事業成長も好調だ。日本法人のカントリーマネージャーを務める江尾浩昌氏は、2026年度第3四半期の業績を発表した。前年比で事業規模は100%増、新規顧客は200%増、さらには業界別で見ると、金融・保険・証券の顧客が100%増、製造業は200%増と、かなりの成長速度である。背景には、直近で頻発しているランサムウェア被害や、マスメディアでセキュリティインシデントのニュースが相次いで報道されていることもあるのではないかと述べた。

イルミオ ジャパン合同会社 ヴァイスプレジデント 兼 カントリーマネージャー 江尾浩昌氏
イルミオ ジャパン合同会社 ヴァイスプレジデント 兼 カントリーマネージャー
江尾浩昌氏

【関連記事】
イルミオ、「Illumio Insights」にエージェント機能を追加へ 脅威に対するガイド付き修復策を提供
CTC、「Illumio Platform」の取り扱いを開始 1年間で20件の導入を目指す

この記事は参考になりましたか?


広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティ、AI、データ関連技術や、それらに関する国内外のルールメイキング動向を発信するほか、テクノロジーを活用した業務・ビジネスモデル変革に携わる方に向けた情報も追っています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/news/detail/23145 2025/11/13 11:10

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング