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アウディ、生産・ロジスティクスでAIを積極活用 「データ主導型生産」掲げ知識とテクノロジーの融合進める

 アウディは、生産およびロジスティクスにおけるAIの導入の現況を発表した。

 生産向けの独自のクラウドプラットフォームを拡張するとともに、大規模な量産に対応する新たなAI活用事例、およびテクノロジーの導入を進めているとのことだ。

Edge Cloud 4 Productionが生産基盤を形成

 生産環境全般にわたり、Edge Cloud 4 Production(EC4P)の運用を開始しているとのこと。これにより、完全にネットワーク化された工場の自動化における、次のベンチマークを打ち立てるとともに、生産現場でのAIの活用に向けた基盤を形成しているという。

 EC4Pは、従来の自動化技術に、クラウドが持つ柔軟性と計算能力を組み合わせることができ、プロセスの簡素化、現場に必要なハードウェアの削減、新しい機能の迅速な導入を実現するとしている。これにより、プロセスの安定性が向上し、メンテナンスコストの削減や、ITセキュリティの強化につながるとのことだ。

 たとえばドイツ国内の工場では、車両組立での現場の作業指示がクラウドによる中央制御へと移行しているという。生産ラインの従業員は、車両仕様や地域別仕様などの情報を、中央システムからリアルタイムで受け取れるとのことだ。クラウドへの移行により、すでに1,000台以上の産業用PCを削減したと述べている。

 ドイツ ネッカーズルムにあるAudi A5およびAudi A6シリーズのボディショップでは、EC4Pが量産向けの自動化された生産環境に初めて導入されたという。生産ラインのローカルなハードウェア制御装置は、バーチャルプログラマブルロジックコントローラー(vPLC)に置き換わり、約100台のロボットを含む産業機器が、EC4Pを介してミリ秒単位の精度で連携しているとのことだ。EC4Pは、円滑な生産プロセスに求められる最高水準の要件を満たしており、3交代制で1日に数百台の車体を製造することを可能にしているという。

AIが従業員を支援し、品質を維持

 Weld Splatter Detection(WSD:溶接スパッタ検知)システムは、将来的にはEC4P上で稼働し、さらなる柔軟性と拡張性を実現するとしている。アウディのネッカーズルム拠点では、WSDが車体アンダーボディに発生する溶接スパッタを検知し、光でその位置を示すという。最近のアップグレードでは、体の負担が大きいスパッタの研磨・除去作業をロボットアームが担うように。フォルクスワーゲン グループ初となるAI支援型の溶接スパッタ検知システムは、まもなくインゴルシュタットの6つの工場の量産工程に導入される予定だとしている。

 また、生産プロセスを監視する独自のAIソリューション「ProcessGuardAIn」を開発しているとのこと。これは、複数拠点横断型の「P-Data Engine」プラットフォームを過去数年にわたり構築してきた、アウディのデータ専門家チームによって実現されたとのことだ。

 このプラットフォームは、生産に関わる様々なシステムデータおよび工場データを、一貫した品質レベルで統合するという。このデータベースにより、アウディのデータサイエンティストは、ProcessGuardAInなどのAIアプリケーションを迅速かつ効率的に開発し、展開できるようになるとしている。このAIソリューションは、数十年にわたる専門知識と工場およびプロセスデータを、標準化した拡張可能なモジュール型システムとして統合しており、フォルクスワーゲン グループ全体で活用可能だという。

 ProcessGuardAInは、機械およびセンサーから取得したデータに基づき、生産工程をリアルタイムで監視し、早期段階で異常を検知して、専門家に通知するとのこと。現在、ネッカーズルム工場の塗装工程にて、前処理工程における塗布量の最適化と、カソード電着塗装(CDC)における異常検知という2件のユースケースのパイロットフェーズが進行中だという。量産工程への導入は、2026年第2四半期を予定しているとのこと。早期の異常検知により、手作業工程が簡素化され、フォローアップコストが削減されるとしている。

 ProcessGuardAInの次の開発ステージでは、データに基づくアクションプランの提示と、アプリを通じたステップごとのガイダンスが検討されるとのことだ。将来的にはProcessGuardAInが、すべての工場におけるあらゆる製造プロセスを監視し、予知保全および品質保証の中核ツールとして機能することが可能になるとしている。

ワイヤリングハーネスの自動組み付け

 ドイツ インゴルシュタットにある本社拠点で進められてるNext2OEMプロジェクトでは、アウディが10のパートナーと協力し、ワイヤリングハーネスの生産と組み付けを、サプライヤーから工場内での取り付けに至るまで、完全にデジタル化および自動化する方法を実証しているという。

 ドイツ連邦経済 エネルギー省の助成を受けた実証システムが、インゴルシュタットに構築され、プロセス全体を可視化しているとのことだ。ワイヤリングハーネスの生産から、センターコンソールでの自動化対応コネクターを用いたプレアッセンブリー、車両への自動取り付けに至るまでを、中央システムによって制御しているという。この取り組みにより、物流負荷の軽減に加え、変更対応に要するリードタイムが数週間から数分へと短縮されるとのことだ。次のステップでは、ここで得られた知見を、将来の車両プロジェクトの量産工程へと展開していく予定だと述べている。

初のIPAI協業:塗装工程におけるAIベースの乾燥炉制御

 IPAIとの協業による最初のアプリケーションを、ネッカーズルム拠点における量産工程の、AI支援型の乾燥炉制御でテストしているとのこと。このアプリケーションの基盤となるAIモデルは、別の産業分野から転用されたものだという。IPAI内で協業し知見を共有することで、専門家たちはアウディにおける活用可能性を見出したとのことだ。

 現在は、縦型乾燥炉において温度および風量を制御する複数のコントローラーが、AIシステムに接続されているという。これにより、生産ライン速度のごくわずかな変化にも迅速に対応でき、乾燥プロセスの資源効率を高めることが可能になったとのこと。アウディは2026年夏まで、この取り組みによるエネルギー削減効果を検証するとしている。このAI支援型システムは、アウディとappliedAI initiative、そしてCVET GmbHによる共同開発プロジェクトだとしている。

イノベーティブな環境で働く

 データ主導型生産への道のりにおいて、アウディは自社の知見と、産業界および学術分野におけるパートナーの専門知識を融合したアプローチを採用していると述べている。

 社内からは、Audi Production Lab(P-Lab)およびP-Data Factoryに所属する約60名の専門家が、アイデアの初期段階から量産化に至るまで、新技術の開発・導入を推進しているとのことだ。

 Broadcom、Cisco、Siemensと協力し、EC4Pの一環として、仮想化プラットフォーム、ネットワーク、自動化技術の連携を進めているという。加えて2023年より、応用AI分野においての欧州の中核拠点であるドイツ ハイルブロンのIPAIにおいて、アクティブパートナーとして参画しているとのことだ。これらの協業により、最新の技術動向やスタートアップ、人材へのアクセスが可能となり、革新的な取り組みを迅速に量産体制へと反映できるようになると述べている。

AIおよびデータ活用に関する明確なルール

 すべての従業員に対して拘束力を持つ行動規範(Code of Conduct)、および人工知能に関する基本方針(ポリシーステートメント)において、アウディは、現代のキーテクノロジーであるAIを責任をもって活用することを明確に示しているとのことだ。尊重、安全性、透明性の3点を行動原則として、AIの可能性を最大限に引き出しながらも、企業やおよび従業員を保護し、ユーザーの権利を尊重すると述べている。また、データ共有実施規定(Data Sharing Code of Practice)を設定し、データが企業の価値観に沿って適切に取り扱われることを保証するとしている。

AIおよびデジタル化における拠点横断の協業

 アウディの生産ネットワークは、様々なAIユースケースをネットワーク内で展開し、データの共有を積極的に実施しているという。

  • Audi ハンガリー:デジタル化の可能性を特定するために、バリューチェーン全体を体系的に評価。ハンガリー ジェール工場では、企画、製造、品質管理に至るまで、AIが生産プロセスの透明性と効率性向上に寄与
  • Audi メキシコ:マネージメントチームがAI支援型ツール「Production Reports」を活用。主要指標をリアルタイムで可視化し、サン ホセ チアパ工場から得られる正確かつ最新の稼働データに基づいた経営判断を実践中

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