過半数が経験したサプライチェーン危機:「平時の可視化」が有事の初動を決める
2025年、製造業の調達・購買部門の管理職約500名を対象に実施した調査では、サプライチェーンの供給混乱、または供給停止になりかねない事象を経験したと答えた企業が過半数に上った。この調査を実施したResilire(レジリア)の事業開発部長の永峰康司氏は、混乱時に最も苦労した点として「リスク情報の検知および影響範囲の特定」「サプライヤーとの連絡・連携」という初期対応フェーズに60%超の回答が集まったことを示した。問題が起きた後の対処能力よりも、「何が起きているのか・自社への影響はどの程度か」を即座に把握できないことが最大の痛点だったことになる。事前回避できなかった理由の上位3つも、「バックサプライヤーの把握不足」「リスク情報の早期検知ができなかった」「サプライチェーン構造の可視化ができておらず影響範囲を特定できなかった」と、いずれも平時の情報管理に関わる問題だった。
Resilireが提供するのは、自社のサプライチェーンデータをクレンジングし、直接の取引先(1次サプライヤー)の先にある2次・3次のサプライヤーまでをクラウド上で段階的につないでいく仕組み。2次・3次と遡ると数万社に及ぶケースもあるため、帝国データバンクのような信用データ提供企業との連携でリスクアセスメントを自動化し、外部インテリジェンス情報とAIを組み合わせたリアルタイムモニタリングも提供している。
特徴的な強みは、一度入力されたデータを複数の企業が同期・共有できる構造で、たとえば医薬品業界では1社の原薬メーカーのデータ入力が数十社の製薬会社への連携として機能する点にある。「データ連携の効率化がネットワーク効果として皆様の利便性向上につながる構造になっている」と代表取締役の津田裕大氏は説明する。データが集まるほど全体の価値が高まる好循環が、このサービスの成長エンジンだという。
2026年4月には、自社のサプライチェーンデータに基づいてAIと対話できる機能と、購入品目や調達国を掛け合わせてAIが将来発生しうるリスクをシナリオとして予測的に提示する機能のリリースも予告されている。反応型から予防型への転換がResilireが提示するサプライチェーン管理の新たな競争基準だとする。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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