生成AIを超える「創造AI」の時代へ──日立製作所 矢野和男氏が語る、CFOの力を拡張する第4世代AIの本質
「BlackLine Summit 2026」レポート
600人の異能専門家を束ねる「AI参謀団」──実際のデモが示した経営支援の可能性
講演の見どころになったのが、FIRAの実際のデモだった。矢野氏はその場でテーマを入力し、AIが動く様子をリアルタイムで会場に見せた。
FIRAの内部には、スーパーCFO(財務・資金のプロ)、スーパーCHRO(人財・組織のプロ)、Dr.競争戦略(競争戦略の達人)、Dr.革新発想(新発想を生む達人)、もの言う株主(鋭い発言の投資家)、サイバー山口周(新時代の視点を明かす達人)、サイバー為末大(人の成長を哲学する世界陸上メダリスト)など、600を超えるキャラクターが「量子的な作用素」として常駐している。実在の人物については個別に契約を結んで使用許諾を得ており、その分身として機能するという。
デモのテーマは「産業分野でBtoBビジネスを展開する製造業のCFOが、AI時代に社長の期待に応えるためにどこを変えてどんなことに取り組むべきか」というものだった。投入すると、3つの仮想会議室がパラレルに起動し、それぞれ異なるメンバー構成でリアルタイムの議論が始まった。一方では「AIを使うCFOから、AIで企業全体の利益構造を塗り替えるCFOへの跳躍が肝だ」という論旨が展開され、別室ではグローバル視点からの補強意見が加わる。過去データを検索して引用するのではなく、この場で議論が生まれている点がFIRAらしいところだ。
一連の討議がひと区切りつくと、三室の議論を統合した報告書が自動生成された。思考プロセス、論拠、疑問への回答、具体策と期待効果まで一覧できるドキュメントに加え、その内容を反映したプレゼンテーション資料(パワーポイント形式)もその場で出力された。所要時間は5〜10分ほどだったという。
評価データも示された。OpenAI GPT-5、Gemini 2.5 Pro、Claude Opus4Thinking、DeepSeek R1など14のグローバルAIモデルと、リスク・投資・IR・営業など10テーマの経営課題への回答を比較したところ、FIRAは「驚き・奥深さ・メタ認知」など7項目の客観評価(LLM-as-a-Judge法)で主要AI群を偏差値で平均27ポイント上回った。
「日本はAIで遅れている」という見方に対し、矢野氏は「世界のAI地図、いよいよ書き換わりました」と語った。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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