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EnterpriseZine(エンタープライズジン)

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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

24/365の運用保守から“日立グループ初の女性CIO”に──AI活用とサプライチェーン防御の真髄語る

第44回:日立システムズ 常務執行役員 CIO/CISO 吉田浩美さん

 2023年に日立グループ初の女性CIOに就任した日立システムズの吉田浩美さん。文系出身からエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、約20年間もの間、24時間365日止められない基幹システムの開発・運用に携わってきた。「自らITを使いこなすユーザーこそが、最良のITベンダーになる」──その信念のもと、自社を実験台にサービスを使いこなし、顧客へ還元するカスタマーゼロによる事業貢献を推進する。現場叩き上げのCIO/CISOは、SIの情シスとして何を見据えているのか。

「24/365」の重要システムの運用保守に向き合った20年

酒井真弓:吉田さんは学生時代、文系だったんですよね。エンジニアを志したきっかけは?

吉田浩美:大学1年生のとき、一般教養でプログラミングの授業を受けて、BASICプログラムを組んだら、すごく面白くて。それがITとの出会いでした。就職は、通勤に便利な「横浜近辺」とだけ決めていて、それ以外は特にこだわりはなく、いろんな企業を受けました。節操ないですよね(笑)。

 そんな中で出会ったのが、日立システムズの前身である日立電子サービスでした。決め手は、最初の9ヵ月間で業務で使う技術を一から丁寧に教えてもらえること。「ここなら私でもやっていけそう」と思いました。アセンブラにパンチカード、2進数の仕組みを理解できたときの面白さは今でも覚えています。同期にも恵まれ、会社には申し訳ないくらい楽しく過ごしました(笑)。形は変わりましたが、現在も新入社員が最長12ヵ月間研修を受けられる制度は続いているんですよ。

酒井:情シスに配属されてからは、どうでしたか?

吉田:1990年から2010年頃まで、約20年間、ハードウェアの保守を支援する基幹システムの開発・運用をしていました。どんなシステムかというと、お客さまの機器に不具合が起きたらアラートが飛んできて、日本全国300拠点のどのエンジニアが出動するかを割り振って、スケジュールして、報告して、品質評価するといった一連の流れを支えるものです。24時間365日、決して止めてはいけないシステムなので、夜中に呼び出されることも日常茶飯事でした。

酒井:一番印象に残っている出来事は何ですか?

吉田:2003年頃のこと。基幹システムの本番移行の当日、全国の拠点で保守員に出社してもらって「動きますよね」と何度も確認してもらったのに、動かなくて……結局延期にしました。相当叱られましたね。翌週リカバリーして、なんとか乗り切りました。

酒井:成功体験より、失敗の記憶の方が強く残っているんですね。

吉田:成功体験って、正直よく分からないんです。味わったことがないのかもしれません。本番リリースしたら運用開始で、「夜中に電話がかかってこないといいな」って余計緊張の日々が始まって、いつまでも“終わった感”がないんですよね。一度だけ大きなシステムをリリースしたときにテープカットのイベントがあって「あぁ、終わったんだ」と実感しましたが、ほっとしたのも束の間、翌日から本番運用で、電話がジャンジャンかかってきました(笑)。

酒井:「成功体験がない」って、こういうインタビューで初めて聞きました(笑)。もしかしたら運用の方ならではの感覚かもしれませんね。

吉田:ただ、当時はそんなふうに思えませんでしたが、今振り返ると「あのとき私たち本当に頑張ったよね」と語り合える仲間がいる。そういう日々を積み重ねられたことが、今の自分を支えてくれているんだと感じています。

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株式会社日立システムズ 執行役員 CIO 吉田浩美さん

情シスならではの視点で、顧客企業と本音の対話

酒井:情シスとして社内ITを支えながら、同時にその経験をお客さまへの提案に活かしていく。言うのは簡単ですが、実際にはどうやって成り立たせているんでしょうか?

吉田:新しい技術やサービスが出てきたら、まず自分たちで徹底的に使い倒します。うまくいったこと、いかなかったこと、そのすべてを事業側にフィードバックし、ノウハウも含めてお客さまにも提供していく。私たちはこれを「カスタマーゼロ」と呼んでいて、日立グループ全体の重点施策になっています。

 私たち情シスがカスタマーゼロに関わる意義は、ユーザーの立場で考えられること。そして、業務プロセス全体を俯瞰して見られることだと思っています。システムやサービス単位ではなく、IT戦略の立案に始まり、構築、運用、最終的な廃止まで、一気通貫で見通せるのは現場の情シスならではの強み。お客さまの情シス部門の皆さんとフラットに情報交換することもあるんですよ。

酒井:きっと情シス同士だからこそ分かり合えることってありますよね。

吉田:お互いの本音を共有できる機会は、私たちにとっても貴重で、カスタマーゼロの一つの土台になっていると思っています。

《編集部よりお知らせ》IT領域での女性活躍を応援するカンファレンス開催!

 翔泳社ではこれまで、女性ITエンジニアの学びを応援する「Women Developers Summit」と、情報システム領域の女性リーダーをつなぐ「Enterprise IT Women's Forum」をそれぞれ開催してきました。このたび、両カンファレンスが初めてコラボレーションし、5月26日に「IT Women Summit」をオンライン配信します!

 本記事に登場いただいた吉田浩美さんは9:30~の基調講演にて、ロッテホールディングス/ロッテ CIOの丸茂眞弓さんと対談。「ITを武器に“わたしらしく”輝く方法~意志で道を切り拓く~」をテーマに、自身のキャリアから自社のIT戦略まで、ライブ配信でお届けします。モデレーターは本連載の著者である、ノンフィクションライターの酒井真弓さんが務めます。

 そのほか、女性CTO対談や、女性エンジニア3名によるAI活用の挑戦ストーリーなど、見所満載です。ご視聴は男女ともに受付しておりますので、ぜひお早めにお申し込みください。事前登録は5月25日(月)13:00まで受け付けています。

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“AI-Ready”を優先してデータ入力の仕掛けを一から作り直す

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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