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アフラックがAIエージェント活用、三井住友信託銀行はクラウドネイティブ化促進──AWS活用事例を発表

 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)は2026年4月14日、金融事業戦略に関する記者説明会を開催した。同社は2030年に向けたビジョンとして、日本経済の安定した基盤提供を掲げており、基幹系システムのクラウド移行支援と生成AI、AIエージェントによる業務変革の推進を打ち出している。会見では、三井住友信託銀行がクラウドネイティブ化を進めるための新組織設立を発表したほか、アフラック生命保険が登壇し、AIエージェントによる保険金支払査定の自動化といった具体的な実装状況を語った。

(左から)アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 常務執行役員 金融事業統括本部 統括本部長 鶴田規久氏

三井住友信託銀行株式会社 執行役員 岡松参次郎氏

アフラック生命保険株式会社 取締役専務執行役員 CDIO 二見通氏

 AWS 鶴田氏は、今後の技術革新の核として「AIエージェント」を挙げる。同社はこれらを安全に構築するための基盤として「Amazon Bedrock」および「Amazon Bedrock AgentCore」を提供し、金融機関特有の厳格なセキュリティとガバナンスを担保しつつ、数時間を要していた調査業務を数分に短縮するような変革を支援するという。

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 あわせて、金融庁のITレジリエンスに関する分析レポートにも触れ、2030年代半ばの実用化が見込まれる量子コンピューターへの対策についても言及。同社は、現在の暗号技術が破られるリスクに備え、耐量子計算機暗号(PQC)への移行を支援する。鶴田氏は、AWSの責任共有モデルに基づき、クラウドセキュリティについてはAWS側でPQC対応を進めることで、利用者の移行負荷を軽減できると語った。さらに、最上位のサポートプラン「AWS Unified Operations」によって、24時間365日のプロアクティブな監視と、迅速なインシデント初動対応を実現する体制を整えたとのことだ。

三井住友信託銀行:AWSへの戦略的「Bet」とエンジニア文化の醸成

 会見には、実際にAWSを活用している金融企業として三井住友信託銀行が登壇。執行役員である岡松氏は、同行がAWSを標準アーキテクチャとして採用し、戦略的な投資対象として位置づけていると語る。信託銀行のビジネスは、顧客の課題に応じた少量多品種の“オーダーメイド型サービス”が特徴であり、その柔軟性を実現するためには、AWSのビルディングブロック(部品群)を活用したシステム構築が最適であると判断したという。同行は現在、インフラを必要とする情報システムの多くをAWS上で稼働させており、2025年5月には重要システムである顧客元帳(統合顧客管理データベース)の移行も決定している。

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 同氏は、AWSの活用が単なるシステムの移行にとどまらず、組織全体の変革に踏み込んでいると強調した。同社は、2026年4月にシステム子会社を本体に統合したことを受け、IT人材の高度化を目的とした「Tech Journey」という取り組みを開始。AWSの「Learn and Be Curious(学びを楽しむ)」といった行動指針を参考に、1,922名が参加する学習ムーブメントを創出している。岡松氏は、現場から経営層までが同じ技術言語で語り、特定の分野に精通した「Renaissance Developer」を育成することで、モノづくりを大切にする組織文化への転換を図っていると説明した。

 また、会見では新たにAWSとの共創組織「All-Out Cloud Factory」の設立が発表された。これは、クラウドネイティブ化やAI-Ready化に向けて、AWSのエンジニアと同行のエンジニアが総力を挙げて取り組む現場を意味する。今後は、顧客元帳移行でのAmazon Bedrockの活用なども進めていく方針だ。「すべての業務を裏側まで理解したうえでクラウドを使い倒し、かつてレオナルド・ダ・ヴィンチが芸術と科学を統合したように、信託の精神を技術で表現する『ダ・ヴィンチ エンジニアリング』の確立を目指す」と岡松氏は意欲を見せた。

アフラック:AIエージェントによる業務の再創造とエコシステムの構築

 アフラック生命保険の取締役専務執行役員である二見氏は、同社が取り組むAXの具体像を提示した。同社は現在、保有契約件数が2218万件に達する膨大な顧客基盤を有しており、AIを単なる効率化の手段ではなく、企業の中核能力として位置づけてビジネスを再創造しようとしている。二見氏は、これまでのDXが「デジタル技術による既存業務の進化、新規ビジネスの開拓」であったのに対し、AXは「人とAIが密接に協働することで、顧客体験や社員の働き方そのものを再創造すること」だと定義した。

 実装事例として紹介されたのが、保険金支払査定業務へのAIエージェント導入だ。従来は約款やマニュアルを社内生成AIで検索し、支払可否を判断して結果を手入力していたが、新システムでは複数のAIエージェントが連携してこれらの工程を自動で実行する。具体的には「Bedrock AgentCore」によるマルチエージェント構成を採用し、専門性をもった複数のAIが互いに通信しながら迅速に査定を行う。AIが検索、判断、入力を担い、最終的な意思決定のみを人が行う体制へと移行することで、処理スピードと精度の双方を向上させるとのことだ。

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 さらに同社は、契約住所や口座情報の変更といった保全事務においても、AIエージェントによる自動処理を推進している。ここでは、AIエージェントがModel Context Protocol(MCP)を介して、既存システムとシームレスに連携する。これにより、古い基幹システムを改修することなく最新のAI技術を適用できるという。二見氏は、コンタクトセンターで24時間365日の顧客対応を実現する「デジタルヒューマンアバター」の開発も進めており、AWSとの協業を通じて、生命保険の枠を超えた「ライフパートナープラットフォーム」というエコシステムを構築したいと展望を語った。

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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