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「SREは開発者」パナソニックコネクトは仮想組織によるハイブリッドSRE 製造業にフィットする運用へ

「PagerDuty on Tour Tokyo 2026」レポート

パナソニックコネクトは障害対応で「PagerDuty」を活用

 日々の運用において、さまざまな課題に直面していることを打ち明けた野原氏は、3つの課題と対策を紹介した。1つ目の課題は、開発者としての経験は豊富でも、同じだけの運用経験を持ち合わせていないことだ。開発者中心の組織であるため、運用を熟知した一部のリーダーに業務が集中してしまう。その上で独自のこだわりを持つメンバーが多いため、PagerDutyを導入してスマートフォンへの通知設定をしたものの、「僕はSlackに住んでいるので、スマートフォンは見ません」と言われてしまうこともあるという。メンバーの成熟に加えて、一人ひとりを説得しなければ組織としての一体的な運用が難しい状況だ。

 2つ目は、グローバルの運用状況に目が行き届かない点である。海外拠点のメンバーは「大丈夫です、バッチリうまくいっています」と言うものの、日本側で確認してみると認識に齟齬があるケースも少なくない。野原氏は、グローバル全体での標準化を進めていく必要性を強く感じているという。

 そして、3つ目はリリースを繰り返しながら品質を高めていくことの難しさである。SaaSプロダクトは品質よりもスピードが重視される傾向にあるため、バグが判明しても次のスプリントで修正することで、継続的デリバリーを優先することが重要だ。その一方、「このプロダクトの品質はどうか」と問われてしまうと判断が非常に難しくなる。「これはSaaSプロダクトを運用するSRE組織が必ずぶつかる壁だと思う」と野原氏は話した。

パナソニックコネクト特有の現状と課題(出典:パナソニックコネクト株式会社)
パナソニックコネクト特有の現状と課題(出典:パナソニックコネクト株式会社)
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 こうした課題と向き合いながらパナソニックコネクトでは、PagerDutyを導入した障害対応の改革も進めている。その一つがオンコールのカスタマイズだ。スマートフォンへの通知のように、どのチャネルに通知を飛ばすべきか。昼夜逆転している開発者への対応など、各チームの実情にあわせてオンコールを整備する必要があるため、PagerDutyの柔軟性が有効に機能しているという。また、PagerDutyを標準化の基盤に据えることで、PagerDutyを起点としたグローバルチームの運用標準化も進めていく。加えて、各拠点でバラバラに存在する監視システムを統合するにあたり、すべての監視アラートをPagerDutyに集約している最中だ。野原氏は、「監視担当者はPagerDutyだけを参照すれば問題がない体制が実現すると期待している」と述べる。

障害対応で「PagerDuty」を活用中(出典:パナソニックコネクト株式会社)
障害対応で「PagerDuty」を活用中(出典:パナソニックコネクト株式会社)
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 そして、フェーズやプロダクトごとに品質水準が異なるという課題に対しても、PagerDutyを活用した負荷軽減に取り組む。たとえば、プロダクトの開発フェーズではMTTR(平均修復時間)は2日だが、次のフェーズに移行したらMTTRを48時間以内とするなど、すべてのプロダクトを共通指標で運用できるようにしたい。そのためのインサイトをPagerDutyから得ることを見込んでいるという。パナソニックコネクトにおけるSRE組織の運営では、まだ多くの課題が残っているもののPagerDutyを活用することで、さらに組織を強化していく考えである。

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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