AI insideは2026年5月13日、国内のデータセンター(以下、DC)事業者と連携し、AI推論インフラを分散ネットワークとして構築する「Sovereign Grid(ソブリン・グリッド)」を始動すると発表、それにともなう記者会見を開催した。同社はこれまで培ってきたAIモデル、プラットフォーム、専用ハードウェアの垂直統合技術を活かし、国内DCを「AI Factory(AI工場)」へと転換させる。
また、同プロジェクトの中核を担うAI統合基盤「Leapnet(リープネット)」の正式提供も同日より開始した。米国ハイパースケーラーのクラウドに依存せず、国内で完結するデータ主権(ソブリン)を確保したAI実行環境の構築を目指すという。
同社 代表取締役社長 CEOの渡久地択氏は、AI能力の成長速度について「年に10倍、3年で1,000倍という数字は予測ではなく、現在のコンピュート量とアルゴリズム効率の直線的な延長線上にある」と強調。同氏によれば、2024年後半からAIの進化の主軸は事前学習から「推論」へと移っている。
特に、推論時の挙動を直接最適化する「Post-training RL」や、思考時間をかけることで正答率を高める「推論時計算(Test-time Compute)」といった技術進化が、推論インフラの需要を爆発的に高めているとのことだ。グローバルでは、数千億ドル規模を投じて10GW級の巨大DCを構築する動きがある一方、日本では電力制約や土地の確保といった構造的な問題から、単一拠点への集中投資は困難な状況にある。こうした日本の環境に整合する解として提示されたのが、既存のDC群を分散型ネットワークで接続し、全体として巨大な計算資源として機能させる「Sovereign Grid」だ。
会見では、同プロジェクトの一環として、国内大手DC事業者と100億円規模の中長期的な共同事業を検討していることも明かされた。参画するDC事業者は、電力とスペースを提供することで、AI insideが提供する専用ハードウェア「Cube」と統合基盤「Leapnet」、自社開発LLM「PolySphere(ポリスフィア)」からなる3層の垂直統合スタックを導入できる。これにより、事業者は自ら複雑なAIスタックを調達・統合することなく、自社ブランドのAI推論サービスをエンドユーザーに提供可能となる。
同日提供を開始した「Leapnet」は、社内データを知識化し、マルチモーダルRAGや業務特化型AIエージェントをノーコードで構築できるプラットフォーム。構築と同時に推論実行環境が自動生成される。渡久地氏は、「日本がAIを利用するだけでなく、産業として発展させていくためには、モデルと実行基盤の双方を国内にもつことが重要だ」と語り、今後は2026年上期を目途に主要クラウド事業者のモデルとの技術連携も進めるなど、日本のAIインフラの自律的な構築を推進していく展望を示した。
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