福岡銀行は、LayerXが提供するAIプラットフォーム「Ai Workforce(エーアイ ワークフォース)」を導入した。地方銀行での導入は初の導入事例だという。
同行では、若手行員を中心としたAI活用プロジェクトとして、ストラクチャードファイナンスにおける複雑な融資契約書の検索・管理業務をAIで効率化し、営業時間の創出と業務品質向上を目指すとのこと。業務効率化により、年間約7,000時間の業務削減を見込んでいるという。
ストラクチャードファイナンスとは、プロジェクトファイナンス、不動産ファイナンス、LBOファイナンス、船舶・航空機ファイナンスなど、資産やプロジェクトを担保とした融資業務を指す。案件ごとに異なる複雑な契約条件を扱うため、高度な専門知識と綿密な管理が必要とされる領域だ。福岡銀行のストラクチャードファイナンス業務では、主に以下の課題があったとしている。
1. 過去案件の検索・活用が困難な状況
- 既存のシステムでは過去案件を探す際に時間を要し、新規案件検討時に若手行員が過去案件を参考にするためのツールが不足
- 結果として、過去の案件事例やノウハウはベテラン行員に集中し、業務が属人化
2. 複雑な融資契約書の管理負荷
- 案件や契約書が複雑かつ個別性が高く、各業務フローで手作業部分が多いため、人的な業務負担が大きい
- 一例として、100ページを超える融資契約書から必要なモニタリング情報を抽出し、管理表に転記する作業に時間を要していた
Ai Workforceの採用により、過去案件の契約書の高精度な検索と融資契約書管理の効率化を実現し、業務時間の削減を見込んでいるという。
1. 過去案件の契約書の高度検索機能
- 過去案件の融資契約書からサマリー情報を抽出してデータベースに蓄積
- ファイル名だけでなく、契約書内に記載されているワードを含めて検索可能
- 即座に検索できる環境を構築し、若手行員の主体的な情報収集を支援

2. 融資契約書管理の自動化
- 融資契約書からモニタリング情報を自動抽出し、各種管理表の作成を自動化

見込まれる成果として、以下が挙げられている。
- 契約書検索:約6,500時間/年の削減
- 管理表作成:約500時間/年の削減
削減した時間は、顧客対応の充実や業務品質の向上に充てる予定だとしている。
組織風土改革プロジェクトとしての位置付け
同プロジェクトは、30代前半の若手のプロジェクトメンバーを中心に推進しているとのこと。プロジェクトを通じて、業務整理、要件定義を経験することや、トライアルを通じたフィードバックなどのサイクルを回すことで人材育成につなげるほか、DXにおける成功体験を積むことで、組織内の業務改善の風土醸成のきっかけとすることも重要な狙いだという。
また、行内でもユーザー部門発のAI活用事例として、先進的な取り組みであり、若手行員の活躍により、行内での事例紹介などを通じて、ストラクチャードファイナンス部だけでなく、他部署への展開も実現しているとのことだ。
今後の展望
契約書検索・管理表作成以外に、契約内容の確認業務等にもAi Workforceが活用できないか検討中だという。1つのシステム内で複数業務を行えるようにすることで、さらなる効率化を目指すと述べている。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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