セールスフォースの年次イベント「Dreamforce 2026」で目玉となったのはAIforce。Salesforceユーザーは「Salesforce」「Slack」「Claude」の3つの選択肢の中から、自分好みの環境を選択できるようになったと受け止められた。
なぜハーネスが重要なのか?
2026年に入り、ClaudeやChatGPTがチャットボットから業務アプリケーションへと本格的にシフトしている。Anthropicが同年2月に10種類のプラグインによる拡張の仕組みを発表したことが、主要SaaS企業の株価下落の材料になった。「SaaS is Dead」論は、今もなお続いている。5月には業務領域別のプラグインを発表。2024年11月のMCPの公開以来、“オープンにつなぐ”ことを核としてClaudeなどは現在進行形で進化している。そして、新しい動きも出てきた。セールスフォースとのパートナーシップで生まれた「Salesforce in Claude」は、ClaudeをSalesforceにつなぎ、その機能を拡張する動きの一例である。
プラグインを通して、AIがSaaSを操作するようになれば、人間が画面を操作する必要はなくなるだろう。対するSaaS企業は、それぞれの専門に特化したエージェントを提供し、汎用型のAIエージェントに対抗しようとしている。今回、SaaSのリーダー企業ともいえるセールスフォース自身は、Claudeの画面でSalesforceを利用できることを示した。ここで浮上する1つの疑問が「庇を貸して母屋を取られることにならないか?」だ。この疑問へのセールスフォースの反論が「AIハーネス」にある。
(出典:Salesforce)
マーク・ベニオフ氏(Salesforce 会長兼CEO)が基調講演で「モデルだけでは不十分」と語ったように、モデル自体はビジネスを本質的に理解していない。たとえば、モデルは注文という行為が何かを知っているものの、注文を実行した顧客のことは知らないだろう。ある顧客が先週既に3回も電話をかけて、「注文した商品が届いていない」と訴えていたことも知らない。注文した商品が海外に滞留していることも知らない。モデルの性能向上は目覚ましいが、どれだけ賢くなったとしてもモデルだけで企業経営はできない。
そして、モデルを決定論的に動作するよう制御しようとすると、その外側に制御機能を持たせなくてはならない。これをセールスフォースでは「AIハーネス」と呼んでいる。ローハン・クマール氏(Salesforce Chief Platform and Engineering Officer)は、AIハーネスを「モデルの外側にあり、企業経営を機能させるために必要なすべてのもの」と説明した。
(出典:Salesforce)
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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