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イノベーターの本棚

イノベーション創出のための4ステップ-各ステップで役立つ「58のツールを備えた道具箱」

(第7回)イノベーションに効く洋書03:“The Innovator's Toolkit: 50+ Techniques for Predictable and Sustainable Organic Growth”


「The Innovator’s Toolkit」が定義するイノベーションプロセス

 本書の冒頭では、58の手法を使う前提として、イノベーションを実現するための枠組みや考え方が紹介されています。本書では、イノベーションを実現するステップにはフロントエンドとバックエンドの2種類があるとしています。そのステップをまとめると次のようになります。

出所:”The Innovator’s Toolkit”の内容を元に著者作成

 フロントエンドは4つのDから始まる単語でまとめられているため「D4モデル」と呼ばれています。この部分ではイノベーションの機会を定義したうえで、実現性の検証までを行います。その後、バックエンドでは具体的なソリューションとして開発から商用化、そして商用化後の改善のステップまでを行います。こうして見るとわかるように、バックエンドのプロセスはイノベーションというよりは、フロントエンド部分で見極めたアイデアを活用し、開発する(exploit)ためのステップだといえます。

 フロントエンドのプロセスは、リスクに対してオープンなマインドで楽しんで取り組んでいく段階です。顧客が抱えている解決すべき課題(Jobs to be Done)に注意を向け、それを解決するためのアイデアを出しますが、失敗が大きな痛手とならないように、早い段階で失敗する(fail fast and cheap)ことが求められます。そのためプロセスといっても、実際には何度も繰り返しが行われるような流れになります。

 一方バックエンドのプロセスは、まさに“プロセス”で、ステージゲートのように、各段階で次のステップに進んで良いかという判断が行われます。なお、本書で紹介されている58の手法は、基本的にフロントエンドで使われるツールになります。

次のページ
イノベーション創出モデル「D4モデル」とは何か?

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この記事の著者

新井 宏征(アライ ヒロユキ)

SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、2013年よりプロダクトマネジメントに特化したコンサルティング会社である株式会社スタイリッシュ・アイデアを設立。2006年に『プロダクトマネジャーの教科書』を翻訳出版後、企業に対するプロダクトマネジメントの導入や新規事業開発、製品開発の支援を行っている他、「プロダクトマネジャー養成講座」を開講し、プロダクトマネジャーの養成にも力を入れている。また、プロダクトマネジメントに関する話題を中心とした「Stylish Ideaニューズレター」も毎週発行している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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