「イノベーターの本棚」連載一覧
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2014/07/23
競争優位が「瞬時に崩れ去る」時代の新しい戦略書『競争優位の終焉』
本書は、従来正しいとされてきた戦略論では競争優位を長期的に維持することが難しくなる時代において、組織および個人がどう対応していくか?という難題に対して、著者の分析と実践を通して解決策の体系を紹介した一冊です。日本企業の多くが例外なく直面している課題にも拘わらず、こうした考え方はまだまだ十分理解されていないように感じます。本記事ではこの壮大なテーマに対する著者の提唱内容のエッセンスを俯瞰してみたいと思います。
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2014/07/17
なぜビジネスモデル変革が進まないのか? 企業内イノベーターへの処方箋『ホワイトスペース戦略』
「ビジネスモデル」という言葉は、ずいぶんと普及したように思える。その概念を私たちが理解する上で、すぐに思い浮かべる『ビジネスモデル・ジェネレーション』は大きな功績を果たした。その半年前に出版された『ホワイトスペース戦略』を“隠れた名著”として紹介したい。実は、著者であるマーク・ジョンソンは『イノベーションのジレンマ』で有名なクレイトン・クリステンセンとイノサイト社を設立した共同創業者である。つまり、『イノベーションのジレンマ』シリーズとして読むと、さらに深い気づきが得ら...
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2014/07/08
“次の流れ”を読むための『イノベーションの最終解』
“有名すぎる経営学者”クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』にて、華麗なデビューを果たし、もっとも巨大な企業こそが破壊されやすいイノベーションの法則を発見した。さらに、『イノベーションの解』では、ジレンマを乗り越えイノベーションを興すための考え方を世の中に紹介した。さらに、『イノベーションの最終解』(原題 Seeing What’s Next)では、三部作を締めくくるように、イノベーションが起こりやすい環境や未来を予測する上で必要なセオリーを解く。しか...
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2014/05/30
レジリエンスとは、失敗に挫けずに学習する「個人と組織」のマネジメントとリーダーシップである
本書は、変化の時代に不可欠なレジリエンスという概念について、事例に基づき、その構築方法について解説した本です。レジリエンスは、システム、コミュニティ、人など、さまざまな分野で使われる概念で、それぞれについて解説した本は多くありますが、本書は抽象化し、各分野のレジリエンスの関係性を明確にすることによって、レジリエンスの本質に迫っています。この記事では、その点を中心に紹介しながら、イノベーションに必要なレジリエンスについて考えてみたいと思います。
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2014/04/25
「シリアル・イノベーター」が切り開く大企業内イノベーションの流儀
本書は、大企業におけるブレークスルー型のイノベーションのあり方を「シリアル・イノベーター」という人に着目して描いたものです。本書が定義する「シリアル・イノベーター」とは、企業の中で連続的(シリアル)に、画期的な製品やサービス(イノベーション)を生み出す人のことを指します。既存ビジネスのための重厚な組織を備えた大企業においてシリアル・イノベーターはどのように活躍するのでしょうか。その要点を追ってみたいと思います。
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2014/03/07
教育業界の破壊的イノベーションも「辺境」から―ユーザーの価値になる課題解決とは?
「教え方」を一人ひとりの「学び方」とを一致させることができれば、どれだけ教育は良くなるのだろう。このミスマッチを解決すべく『教育×破壊的イノベーション』はアメリカを舞台に想定された2008年に書かれた改革シナリオだ。MOOCs等、IT技術の発展により日本も改革への条件は整いつつある。出版から6年経った今、日本語で改めて読んでみよう。
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2014/02/07
「競争優位の戦略論は、もう時代遅れである」/企業戦略の根底を支える新たな方法論とは?
本書は、新規事業開発研究の第一人者でコロンビア・ビジネススクール教授のリタ・マグラスが昨年6月に出版した著作です。マグラス教授は、この3年程度で最も多くハーバード・ビジネス・レビュー誌に取り上げられている、アメリカのビジネス界注目の研究者の一人です。私(小川)は、1998年に初めてマグラス教授に会って以降、度々意見交換の機会をいただいてきました。マグラス教授の研究テーマの推移についても紹介してみたいと思います。
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2014/01/31
イノベーションを興すDNAは発掘することはできるか?
イノベーションは企業活動の中で、最も人に依存している活動かもしれません。その割には優れたイノベータを見つけるためのリトマス試験紙は一見なさそうに見えます。そのパラドックスに挑み、成功したベンチャー起業家や社内ベンチャーのリーダから抽出することに成功した『イノベーションのDNA』を紹介します。イノベータとそうでない人を分けるものは何か?イノベーション力を高めるための要件は何か?デザインやビジネスモデルの陰でスポットライトを浴びにくい「個人」や「チーム」に光を当ててエッセンスをお伝えします。
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2014/01/24
いまシナリオ・プランニングが必要な理由―想定外の未来を設定し、イノベーション思考を刺激する
未来はいつも、予想外の展開を見せます。そうした予想もつかない未来に対処するための方法が、今回取り上げるシナリオプランニングです。本書は、未来を予測するのではなく、想定外の未来に向かってイノベーションを起こしていく未来創造型のシナリオプランニングのプロセスについて紹介しています。先が見えない時代こそ、こうした未来志向のイノベーションプロセスが求められるのです。
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2014/01/17
“日本人はチームワークが得意”という常識の嘘―「高業績チーム」の知恵とイノベーションの関係
人が集まればチームができます。しかし、集まっただけのチームと真のチームは似て非なるものです。今回紹介します書籍は、20年前にマッキンゼーのパートナーが、高いパフォーマンスを示しているチームはどのような性格を持っているかを丹念な調査により分析し、整理した本です。当時は非常識だった発見事実が、いまやチームの在り方として常識になってきており、いわば、チーム活動のバイブルともいえる本です。
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2013/12/27
ジョブズがアドバイスを求めた男の「クリエイティビティにあふれる社員を雇い育てる52のルール」
今年から連載を持たせていただいた「イノベーションに効く洋書」ですが、2013年最後の記事は少し緩めにイノベーションの原動力となる社員をどう雇い、育てるかについて考えてみます。誰が考えても難しいテーマではありますが、今回紹介する一冊はビデオゲーム会社Atariの創業者であるノーラン・ブッシュネルがスティーブ・ジョブズの見つけ方について語った“Finding the Next Steve Jobs: How to Find, Hire, Keep and Nurture Creativ...
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2013/12/20
「消費者との共創」をいかに実現するのか?コ・イノベーション時代のビジネスモデルを考える
出版されるたびに世界中のベストセラーとなるビジネス思想家であるC.K.プラハード氏による名著「コ・イノベーション経営(原題:The Future of Competition)」を紹介します。
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2013/12/13
なぜd.schoolの教科書は「ジレンマ」ではなく「解」なのか-破壊的イノベーションの捉え方
今回紹介するのは『イノベーションのジレンマ』に続く関連書として出版された『イノベーションへの解(原題:innovator’s solution)』だ。本書は理論の扱い方をテーマとしており、9つの意思決定状況においてそれぞれ有益な理論や考え方が紹介されている。本記事では、理論をいかに扱うかという前提の話や、9つの理論的枠組の中から「顧客の用事」や、「ローエンド型破壊」「新市場型破壊」といった破壊的イノベーションについて触れる。
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2013/11/29
ドラッカーが語る、現代でも有効な「イノベーションの原則」と「組織での体系的な取組み」
本書『イノベーションと企業家精神』(原題:Innovation and Entrepreneurship)は、マネジメントの父と呼ばれているドラッカーが1985年に発表した著作だ。30年近くも前の本でありながら、いかに組織でイノベーションを実現すべきかについて、様々な観点からアイデアを提供してくれる。詳細をみていこう。
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2013/11/22
イノベーション創出のための4ステップ-各ステップで役立つ「58のツールを備えた道具箱」
連載の第1回、第2回にて、“Ten Types of Innovation: The Discipline of Building Breakthroughs”を紹介しました。とかく実態がつかみにくいイノベーションを「10の型」に分類するという点で秀でた本でした。でも、「10の型」といのは出来上がった結果であり、どのようにイノベーションを興すのかという疑問への解にはなりません。今回は、イノベーションプロセスの前半である「イノベーション創出プロセス」に関して、58の道具箱(...