「日本人はチームワークが得意」という常識の嘘
日本ではイノベーションが必要だと言われながら、なかなかできずにいます。その原因を組織マネジメントに求めたり、創造性に求めたりします。しかし、意外と語られていない原因が「チーム」です。
日本人はチームワークが得意だと思っている人が多いと思います。例えば、自動車のように複雑な製品をすり合わせで作っていく能力をみると、チームワークは日本人の強みのようも思えます。
しかし、欧米人から見たときの評価は決してそうではありません。たとえば、齋藤ウィリアム浩幸氏は2012年に『ザ・チーム (日本の一番大きな問題を解く)』(日経BP社)という本で、日本のもっとも大きな問題は“チームがないこと”で、チームがないために製品はできても、システムはできないとまで言っています。
なぜ、こんなに認識のギャップがあるのでしょうか?
そのヒントがマッキンゼーで12年間採用マネジャーを務めた伊賀泰代氏の『採用基準』(ダイヤモンド社)の指摘にみることができます。
この本はマッキンゼーの人材評価の方法を書いた本ですが、伊賀氏は日本の考えるチームは「一人のリーダーがいて全責任を取る集まり」だといい、欧米の考えるチームは「メンバー全員がリーダーシップを発揮する集まり」だと言います。さらに、日本ではチームの成果は“リーダーの優秀さ”で決まると考えますが、欧米では“メンバーのリーダーシップの総和”によって決まると考えるそうです。
この指摘から分かるように日本人が考えるとチームと欧米人が考えるチームのイメージは似て非なるものです。欧米人は日本的なチームを、チームだとは認めていません。ここが、最大のギャップとなりそうです。
では、欧米のチームとはどういうものなのでしょうか?そのヒントが多く含まれているのが、今回のイノベーターの本棚で紹介する日本では1993年に出版された本書“The Wisdom of Teams: Creating the High-Performance Organization”です。
注)翻訳書も刊行されていますが、現在、絶版となっているので今回は翻訳書からの書籍紹介ですが、便宜上、洋書の紹介とさせていだいております。翻訳書は下記となります。現在、購入出来ません。
『「高業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織』(ダイヤモンド社/1994)