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データサイエンティストに会いたい!

デジタルマーケターは“クリエイティブな右脳”と“データを司る左脳”の融合 アドビ 井上慎也さん


 アドビシステムズ 株式会社 マーケティング本部 マーケティング インテリジェンス部 デジタルマーケティング スペシャリストの井上慎也さんは、「SQLやR、Hadoopなんかを使いこなして、データをばりばり分析しているわけではありません」と言う。そういう意味では、世間で言うようなデータサイエンティストではないかもしれない。井上さん自身は、自分はデータとテクノロジーの分かるマーケターだと言う。このデータとテクノロジーが分かるマーケターというのは、デジタルマーケティングソリューションを提供するアドビが提唱する、これからマーケティングの領域に必要となる人材像の1つでもある。

データとテクノロジーが分かるマーケター

アドビシステムズ 株式会社 マーケティング本部 マーケティング インテリジェンス部 デジタルマーケティング スペシャリスト 井上慎也さん
アドビシステムズ株式会社  
デジタルマーケティング スペシャリスト 井上慎也さん

 井上さん、学生時代は情報処理系の研究室で画像処理関連の研究をしており、コンピューターやプログラムのスキルは十分に取得している。「今注目されている、自動車の自動運転に関連する基礎研究を行っていました。自動車に搭載した2台のカメラ映像を使って車の前方の道路形状を認識するものです。ロジックをプログラムにして、いかに速く正確に把握できるようにするかを研究していました」とのこと。また、学生時代にはアルバイト先の仕事や趣味でも、ウェブサイトの作成やプログラミングなどを行っていた。

 そんな井上さん、このまま研究職で企業に就職するのか、違った領域で就職するのか悩むことに。研究も興味深かったが、アルバイト先で出会ったベンチャー企業やNPOなど、リアルなビジネスの世界も魅力的だった。研究はかなり長い目で物事見る世界だ。続けても、その結果が何らか製品として実現されるとは限らない。そういったことももちろん大事だが、自分はもっとリアルに体験できることに携わりたい。そのリアルな体験から、どんな反応が返ってくるのか。その反応を見ながら、さらにいいものを生み出していく。そういったことに自分の能力を使いたい。そう判断したから研究ではなくビジネスを選択した。就職したのは、日用消費財の外資系メーカーであるP&Gだった。

 就職した部署はIT部門。とはいえ「中身は半分はマーケティング、半分はITという立場でした」と。当時はインターネットが普及し、企業のコミュニケーション方法が変化を始めた頃。広告などの従来型コミュニケーション手法のプロは社内にいたが、インターネットと新しいテクノロジーを担当する人材がいない。その部分の仕事を担うことになったのだ。

 「たとえば、ヘアケア製品のマーケティングで、テレビCMや雑誌広告、店頭でのプロモーションなどを行います。それに加え、インターネット広告などを行う。当時はYahoo!などのサイトで、バナー広告を使っていこうという時代です。さらにインターネット広告だけでなく、自社でマーケティング用の情報発信Webサイトを作ったりもしました。でも『PageViewやCTRって何?』という感じで、社内ではなかなか話が通じませんでした」と当時を振り返る。

 そんな状況からスタートし、製品を知ってもらう、ブランドイメージを向上するための活動を4年間程行った。さまざまな試みを行い、予算を獲得し、実践する。その結果から、新たに計画して実践するという形で、PDCAを回していったのだ。インターネットを使った新しいマーケティングを実践するとともに、それを認知してもらうために社内への啓蒙活動も欠かせない時代だった。

 デジタルマーケティングについて一通りの経験をし、さらなるステップアップのために転職をすることに。次に選んだのは、外資系製薬会社のイーライリリーだった。ここでも担当したのは、マーケティングの仕事。とはいえ、これまでのコンシューマ向けのマーケティングとは異なり、今回は病院の医師が顧客だった。製薬会社と医師との接点は、MRと呼ばれる医薬情報担当者。とはいえMRだけでは、効果的な情報伝達に限界もある。「インターネットとテクノロジーを活用し、より効率的に医師とコミュニケーションをとることができないか、それを考えることになりました」と井上さん。

 「イーライリリーでも、行っていたのはマーケティングとテクノロジーのミックスです。テクノロジーを活用する新たな企画を立て、それを実現するためのプロジェクトのマネージメントを行い、でき上がった仕組みで施策を実践するところをやっていました」(井上さん)

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Rを使いこなせるよりもどうしたらいいかを考える能力が重要

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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