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いま改めて問う!ハイブリッドクラウドという選択肢

ハイブリッドクラウドを構成するレイヤ別の連携方法とは?――各レイヤの特徴を理解する

 第1回の「いま企業で多いハイブリッドクラウドの利用パターンは?」では、プライベートクラウドを中心にパブリッククラウドと連携するといったハイブリッドクラウドの利用ニーズや利用パターンについて解説した。企業はシステム更改時や利用用途にあわせて、適材適所で複数の異なるクラウドサービスを選択し連携させていく動きが加速していくとみられる。では、実際にどのようにクラウドサービスを選択し連携して機能を実現するのか――ネットワーク、クラウド管理ポータル、ミドルウェア、コンテナ、データなどのレイヤごとのハイブリッドクラウドによる連携方法について解説する。

ネットワーク、クラウド管理ポータル、OS/ミドルウェア、コンテナ~ハイブリッドクラウドを構成するレイヤ別の連携例(1)

ネットワーク接続による連携

 ハイブリッドクラウドを構成するにあたって、クラウドサービスとデータセンター(ホステッドプライベートなど)やオンプレミスシステムをVPNや専用線などで接続する形態が多い。

 利用ケースが多いと考えられるのが、「AWS Direct Connect」や「Azure ExpressRoute」などによる、AWSやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドサービスと、ユーザ企業が利用するプライベートクラウドサービスなどとの専用線などによる接続だ。ユーザ企業は、利用環境からパブリッククラウドサービスまでを専用線によるセキュアかつ低遅延な環境で利用できる。

 複数のクラウド事業者ではなく、同一事業者で提供するパターンもある。NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)が提供する「コロケーション接続サービス」は、NTT Comが提供するクラウドサービス「Enterprise Cloud」とコロケーションサービスとを同一事業者で提供し、サービス間は仮想ネットワークによるL2レイヤによる同一セグメントで接続し、1Gbpsの回線は1回線までは無料で利用できる。

 ユーザ企業のニーズにあわせて、複数のクラウド事業者と接続可能な事業者もここ1,2年で台頭している。ビットアイルは、AWS、Azure、SoftLayer、ニフティクラウドなどの複数のパブリッククラウド事業者と、自社のクラウドサービスやデータセンターとを相互接続可能な「ビットアイルコネクト」を提供する。

クラウド管理ポータルによる連携

 複数のクラウドサービスをAPI経由で、複数のクラウドサービスをポータル画面のGUI環境から管理制御できるクラウド管理プラットフォームも多く登場している。 クラウド管理プラットフォームには、「RightScale」や「HP Cloud Service Automation」、「CloudForms(Red Hat)」、「Hinemos(NTTデータ)」、「Prime Cloud Controller(SCSK)」などがある。

 多くのクラウド管理プラットフォームは、AWSやAzure、VMware vSphere、OpenStackなどに対応しており、効率的に複数のクラウドサービス管理する場合の選択肢の一つとなる。

OS/ミドルウェアによる連携

 ユーザ企業のオンプレミスやプライベートクラウドサービスと、パブリッククラウドサービスとの仮想サーバーの環境を同一の環境で運用管理ニーズは高い。ヴィエムウェアとソフトバンクが提供するパブリッククラウドサービス「vCloud Air」は、オンプレミスとパブリッククラウドとを同一のリソースブールで運用管理でき、双方向で仮想サーバーを移行することも容易にできる。

 OpenStackの場合は、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアとして、多くのユーザ企業や、事業者が採用している。OpenStackベースで自社のプライベートクラウド環境を構築し、OpenStackをベースとしたパブリッククラウドサービスとハイブリッドクラウドを構成するというケースも増えていくだろう。

 Cloud Foundry やOpenShift といったようなPaaSレイヤによる連携も進んでいくとみられる。IaaSの環境に依存することなく、複数のクラウドサービス上にPaaS環境を構築し、同一のミドルウェアやフレームワーク上で開発することが可能だ。

コンテナ連携

 近年注目度が高いのが、Dockerなどに代表されるコンテナ型仮想化ソフトウェアだ。コンテナ上で構築したアプリケーションは、他のクラウドサービスのコンテナ上の環境への移植性が高く、作成されたコンテナをコピーすることで異なるクラウド環境でも稼働できる。

次のページ
データ、アプリケーション、その他~ハイブリッドクラウドを構成するレイヤ別の連携例(2)

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この記事の著者

林 雅之(ハヤシ マサユキ)

国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュケーションズ株式会社勤務)1995年NTT(日本電信電話株式会社)入社。地方で中小企業の営業ののち、マレーシアにて営業および国際イベントの企画・運営を担当。NTT再編後のNTTコミュニケーションズでは、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発などの業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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