
最近、日産で長らく社長兼CEOを務めたカルロス・ゴーン氏が社長を退任し、会長に就任すると報道されたばかり。自動車業界では組織的な動きのほかにも、技術的な変革も急速に進んでいる。デブサミ2017では日産のコネクテッドカーに関する考えや取り組みを同社 福田慧人氏が解説した。ITやWeb開発のスキルを持つエンジニアにとって、自動車業界との接点も生まれてきそうだ。
いま自動車業界は重要な転換期にいる
かつて自動車業界のプレーヤーといえば、自動車メーカーかその関連企業に限られていたが、近年ではIoTや自動運転などでIT業界や新興企業が参入してきている。対する自動車メーカーもまたIT技術を取り入れ、自動車を進化させている。これからどのような変化が起きるのだろうか。
デブサミ2017にて「コネクティッドカーがもたらすモビリティの可能性と日産自動車における挑戦」と題されたセッションでは日産 コネクティッドカー&モビリティサービス アーキテクチャ&プラットフォーム マネージャー 福田慧人氏がスピーカーとして登壇した。
同氏はヤフーでWebサービス開発や、ファーストリテイリングでシステムアーキテクチャ監修などに携わってきた。ばりばりのITやネットの専門家である。その福田氏は2016年12月に日産に入社したという。福田氏の転職から、日産がいかに新しいITを取り込もうとしているかがうかがえる。

日産 コネクティッドカー&モビリティサービス アーキテクチャ&プラットフォーム
マネージャー 福田 慧人氏
福田氏は「いま自動車業界はターニングポイントにいます」と言う。2017年はじめに開催されたCES(Consumer Electronics Show)で、同社のカルロス・ゴーン氏が「次の5年で過去の50年よりも多い変化や進化が起こりうるでしょう」と話したことに触れ、いま自動車業界は重要な転換期にいると強調する。
理由はこれから自動車に搭載される機能が運転に関わるものだけではなくなり、自動車と人間や社会との関わりも変化していきそうだからだ。現時点で自動車というと、IT業界的な言い方をすれば「ハードウェアの塊」。しかしこれからはソフトウェアが重要な要素として加わってくる。
また従来自動車とはスタンドアロン(ネットワークに接続することなく単体で機能する)だったが、これからは「コネクテッドカー」となりインターネットに繋がるようになる。接続先はインターネットだけとは限らない。インフラ、人間、自動車同士にも広がり、自動車から多様なサービスを利用するようになると期待されている。自動車が自律的に運転する自動運転も徐々に実現への道を歩んでいる。
「その先にあるものは何か」と福田氏は言う。日産が組織として考えているのは「モビリティーサービス」だという。社会やニーズが変化していくなかで「人間が行きたいところに効率良く行けるようにするにはどうしたらいいか」を中心に考えているという。現在の自動車の形にとらわれず、自動車が果たすべき役割や本質を見すえているようだ。
これから自動車の「コネクテッドカー」化は確実に進む。福田氏は「2025年までに全ての新車がコネクテッドカーになる」という調査結果と、メガトレンドとして「ドライバーが重視するのは安全性と利便性」、「都会化には新しいモビリティソリューションが必要とされている」ことを挙げた。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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