全社システムの8割以上を集約する、プライベートクラウド基盤のストレージ刷新
2016年11月、8ラックを占めていたストレージシステムの撤廃が完了した。アサヒグループ国内38社、22,000ユーザーが利用するプライベートクラウド基盤において、中核的な役割を担う「統合ストレージ」の刷新である。新たに導入されたのは、HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイ。国内主要ベンダーの主力ストレージを上回る評価を得て選定された製品だ。統合ストレージ刷新プロジェクトをリードした、アサヒプロマネジメント 業務システム部 副部長 企画グループ グループリーダーの北浦靖司氏は、次のように話す。
「アサヒグループ全社のビジネスを支えるストレージ基盤を、ゼロベースで見直しました。8製品を対象に、パフォーマンス、耐障害性、投資対効果など100以上の項目で検証。絞り込んだ4製品を対象に実機テストを行い、HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイの採用を決めました」
アサヒプロマネジメントは、2011年からアサヒグループ全体のIT戦略の推進を担っている。中でも、グループのIT戦略と事業会社のニーズを合致させるミッションは重要だ。経済産業省と東京証券取引所が選定する「攻めのIT銘柄」に2年連続(2015年および2016年)で選ばれるなど、同社が果たしてきた役割は高く評価されている。
機器選定から検証・評価、構築、移行の実務を担当したのは、アサヒビジネスソリューションズである。同社 ソリューション本部 システム技術統括部長の石橋正啓氏は、「アサヒグループ全社にプライベートクラウドサービスを提供するとともに、長年にわたりアサヒグループのIT環境の標準化・共通基盤化に力を注いでいる」と説明する。
アサヒグループは、国内外でM&Aによる成長戦略を加速させながら、同時にIT環境の統合化を進めてきた。グループ横断的なシステム共通基盤への取り組みを2001年にスタート。2007年にはプライベートクラウド基盤を構築し、段階的にこれを強化しながら、2015年までに販売物流、生産、会計などグループ全社の基幹システム統合を完了させた。
「グループシナジーを発揮させるために、共通基盤としてのプライベートクラウドが大きな役割を果たしています。グループに加わった企業のシステムをこれに統合することで、標準化された業務プロセスへのスムーズな移行、経営情報のタイムリーな共有が可能になり、アサヒグループのビジネスのスピード感に適応することができるのです」(北浦氏)
新たに「統合ストレージ」の役割を担うことになったHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイ。選定の経緯を聞きながら、その実力を明らかにしていこう。
インテル Xeon プロセッサー搭載「HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイ」を採用
アサヒグループでは、3年単位の中期経営計画に沿って「統合ストレージ」を構成する機器の集約を進めてきた。ストレージリソースの有効活用、運用負荷の軽減、コスト削減などの成果を挙げてきたが、一方で課題も生まれたという。
「分散していたI/Oが集約されたことでストレージの負荷が急増し、夜間バッチ時間の伸長など、特定の時間帯で処理が重くなるような影響が出てきました。仮想マシンの増大、仮想サーバー環境特有のランダムI/Oの増加も負荷を高める要因になったと分析しています」と、アサヒプロマネジメント 業務システム部 課長 企画グループの畑本和美氏は話す。
北浦氏が示した課題解決の方針はシンプルだった。
「ストレージ性能の向上だけで、プライベートクラウド全体の性能課題を解決しようと考えました。高いI/O性能を発揮するオールフラッシュアレイを採用し、アプリケーションやサーバーに手を加えることなく、あらゆる処理要求に高いレスポンスで応えることを目指しました」(北浦氏)
一方で、ストレージ製品の選定に際しては100以上の項目で慎重に評価が進められた。一次審査で特に重視されたのは以下の項目だ。
- ① 現行ストレージに接続しているすべての物理サーバーとの接続性がサポートされること
- ② コントローラーがActive - Activeで完全二重化されていること
- ③ 機器・コンポーネントに単一障害点が存在しないこと
- ④ 通常運転時で現行ストレージの2倍以上、縮退運転時で同等以上の性能を発揮すること
- ⑤ すべての保守作業をオンラインで行えること
「HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、全ての必須要件を満たしていました。中でもWindows、Linuxから商用UNIXまで新旧多様なサーバーOSに標準で対応しており、移行が容易なことは明らかな優位性でした。他の製品はパッチを適用しなければならず、移行工数が大きく膨らむことが予想されたからです」と、アサヒビジネスソリューションズ ソリューション本部 システム技術統括部 プラットフォームサービスグループの白井峰雪氏は話す。
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイを含む4製品が、必須要件を満たして二次審査の実機テストに進んだ。適合できない製品はすべて不採用とされた。
調査レポート「1,000人のストレージユーザーから得たフラッシュに関するデータと新事実」
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ハードウェアリソースをムダなく使い、安定的に高いパフォーマンスを発揮
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、HPEではオールフラッシュデータセンター実現に向けた戦略製品と位置づけられている。新たに「統合ストレージ」に採用されたHPE 3PAR StoreServ 20000は、4つのコントローラー全てをアクティブで稼働させ、オールフラッシュアレイならではの高いパフォーマンスと低レイテンシを実現する。
「実機テストでは、6つのテーマ(構成、機能、性能、運用、保守、接続性・移行)で検証を進めました。その結果、HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、ほぼ全ての項目でトップスコアを獲得したのです」(白井氏)
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、筐体を横断して全てのSSD/ディスクにI/Oを分散させるユニークなアーキテクチャーを採用している。アクセスが集中して高負荷になっても、ディスク使用率が高まってもパフォーマンスが落ちない特性は、導入した多くの企業から高く評価されている。
「ハードウェアリソースをムダなく使い、安定的に高いパフォーマンスを発揮するHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイの能力を見極めることができました。多様なワークロードが混在する『統合ストレージ』に、まさに求められていた資質です」と石橋氏は評価する。
さらに、5年間のTCO(移行・運用・保守を含む総コスト)評価が行われ、ここでもHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイの優位性が明らかになった。
「大容量SSDを採用することで従来8ラックを占めていた環境を3ラックに削減し、ストレージシステムにかかる消費電力も最大で1/36に抑制されます。移行や運用・保守にかかるコストを含む5年間のTCOは、実に63%削減できる見込みです。ゼロベースで見直したからこそ、これだけの成果が得られるのだと考えています」(北浦氏)
「攻めと守りのIT戦略」を支え、経営戦略と一体化したIT活用を推進
2016年11月に運用を開始したHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイによる「統合ストレージ」は、実機テストで確認された高いパフォーマンスを本番環境でも存分に発揮している。物理・仮想サーバー合わせて540台以上がHPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイに接続され、SSDの総容量は700TBを超える。
「スケジュールを前倒しして、8ヵ月で移行を完了できたことが大きかったですね。それだけ早く高速な統合ストレージのメリットを享受できるのですから。物理環境の移行が中心だったとはいえ、旧システムで18ヵ月を要した難作業です。HPEの強力なサポートに感謝しています」(白井氏)
アサヒグループは、M&Aと海外展開の加速を視野に「攻めと守りのIT戦略」をさらに強化する構えだ。「攻め」の面ではグループ共通基盤化とグループ統合会計を実現し、「守り」ではITリソース集約とコストマネジメント強化を達成したが、すでに新しいチャレンジが始まっている。
「次のステージでは、パブリッククラウドと高度な連携が可能な、より柔軟なハイブリッド環境の実現を目指します。データセンターレベルでの自動化に向けて、HPEとともにクラウドオートメーション/オーケストレーション技術の検証にも着手しています」と石橋氏は話す。
HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイは、OpenStackに代表されるクラウド管理ツールとの親和性が高く実績も豊富だ。プロビジョニングや構成変更などを自動化・セルフサービス化することで、プライベートクラウド基盤の運用はさらに容易になる。
「M&Aにより全社システムが複雑化・高コスト化した時期もありましたが、これを完全に脱して、業務とシステムの標準化・共通化・統一化を果たしました。HPE 3PAR StoreServオールフラッシュアレイの導入が、意思決定や業務プロセスのスピード化に貢献することを期待します」(畑本氏)
最後に、北浦氏が次のように語って締めくくった。
「いま必要としている共通基盤としてのプライベートクラウドは理想形に近づいています。ですが、5年後、10年後の社会の変化やワークスタイルの進化を支えるためには、最新テクノロジーをさらに積極的に活用していく必要があります。経営とITの融合をさらに進め、経営と一体化したITの実現を目指します。私たちのチャレンジに終わりはありません。HPEのいっそうのご支援に期待します」
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