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(第20回)イノベーションに効く翻訳書11:『イノベーションの最終解』  “次の流れ”を読むための『イノベーションの最終解』

  2014/07/08 06:55

 “有名すぎる経営学者”クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』にて、華麗なデビューを果たし、もっとも巨大な企業こそが破壊されやすいイノベーションの法則を発見した。さらに、『イノベーションの解』では、ジレンマを乗り越えイノベーションを興すための考え方を世の中に紹介した。さらに、『イノベーションの最終解』(原題 Seeing What’s Next)では、三部作を締めくくるように、イノベーションが起こりやすい環境や未来を予測する上で必要なセオリーを解く。しかし、未来を予測するというようなことはさすがに難解で、三部作を読み切ることはなかった読者も多いだろう。今回、三部作としての一貫性が出た新訳を手に取ってみてはどうだろう。

分かることと、予見することのギャップ

シリアル・イノベーター
クレイトン・M・クリステンセン(著)
スコット・D・アンソニー(著),エリック・A・ロス(著)
櫻井 祐子(翻訳)/玉田 俊平太(解説)
翔泳社・刊
  • 1876年に暮らしたとすると、ベルが電話を発明したときに、その爆発的な普及力を予見することを、皆さんはできるだろうか?
  • 1978年、AT&Tの戦略に携わっていたとすると、携帯電話に大きく投資することができただろうか?
  • 2004年、802.11 という無線規格はどうなるのか予測できただろうか?

 書き出しで、クリステンセンはこう問いかけるところからこの本は始まります。私は、こういうクリステンセン節が好きだ。過去を分析し、説明したり、現状を理解したりするためのセオリーは多いが、未来の予測に使えるセオリーはほとんどありません。負けた後でワールドカップでの日本代表の問題を指摘する評論家は多いが、このままではマズイ、と大会前に警鐘を鳴らした人間が少ないことからも分かります。

 現状は「(注意深く)見れば分かる」、過去は「(念入りに)調べれば分かる」が、未来は「法則を(正しく)導き」さらに「(適切に)当てはめる」ことが必要になります。加えて、見たり、調べたりという行為は直感に働きかけるのに対し、法則を導いたり、当てはめたりする行為は抽象的で、手応えとして得にくいことが難しくしているようです。限られた紙面ではありますが、極力噛み砕いて説明したいと思います。





著者プロフィール

  • 津田 真吾(ツダ シンゴ)

    日本アイ・ビー・エム、日立グローバルストレージテクノロジーズ、iTiDコンサルティングを経て、イノベーションコンサルティングおよびハンズオン事業開発支援に特化したINDEE Japanを設立。HDDの開発エンジニア時代に「イノベーションのジレンマ」に触れ、イノベーションの道を歩み続けることを決意する...

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