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アシストの5人のサムライに訊く、データベースのいま

もともとはオラクルとのつながりが強い印象のあるアシストだが、現在はオープンソースを含む、さまざまなデータベースを扱っている。その背景にはどのようなものがあり、またどのような狙いがあるのか?「データベースのアシスト」を支えるプロフェッショナルたちに話を訊いた。

 司会進行:谷川耕一 執筆:加山恵美

 リレーショナル・データベースの進化を見逃すな!

 11/7(木)Database One Day Seminar開催!プログラム詳細はこちら

世界中から製品を探してくる

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DBオンライン谷川耕一(左)、アシストのデータベース事業を推進する岸和田さん(右)

 谷川:アシストのデータベースに関する活動は個々の製品ベースでは理解されていると思いますが、全体像はどうか。さまざまなデータベースに取り組んでいる背景から教えてください。

 岸和田:商用パッケージ・ソフトウェアの販売、サポート、技術支援を提供しています。1987年からOracle Databaseを取り扱っていますので、Oracle Databaseのイメージが強い会社だと思います。2006年にオープンソース・ソフトウェアのビジネスを社内で検討しはじめたのがきっかけですね。アシストがお客様に提供する価値はソフトウェア・プロダクトの選択支援、サポート、活用支援などのサービスが中心なので、商用パッケージ・ソフトウェアであってもオープンソース・ソフトウェアであってもアシストが提供する価値には変わりなく、お客様がオープンソース・ソフトウェアを利用したいのであれば、安心して活用できる環境を提供するべきだという考えから取り組みが開始されました。

 谷川:オラクルという確固たる実績があり、そこにオープンソースを新たに加えたと。最初にPostgreSQLを選んだのは?

 高瀬:岸和田が説明した背景に加え、技術検証したところ、PostgreSQLがOracle Databaseに似た印象があったのが理由です。アシストではOracle Databaseに精通した技術者が多く、ナレッジやノウハウを活かしやすいのがPostgreSQL だと判断しました。

 谷川:順番としては次にMySQLですか?

 岸和田:そうです。オープンソースデータベースを選定していた当初、MySQLはサン・マイクロシステムズさんにありました。その代理店プログラムはサービスを中心とする弊社のビジネスとマッチしてなかったというのも(最初に選ばなかった理由に)あります。

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PostgreSQL担当の高瀬さん(左)、MySQL/MariaDB担当の花谷さん

 谷川:MySQLを扱うようになったのはオラクルに統合されてから?

 花谷:統合直後はまだ前のプログラムとそうたいして変わりませんでした。Monty Program ABやSkySQLが活動開始したあたりから弊社がアプローチしやすくなるなど状況が変化してきました。

 谷川:ところでSkySQLへのアプローチは御社から?

 岸和田:はい。2011年3月11日~13日にポルトガルのリスボンで開催されたMariaDB Development MeetingでSky SQL社にアプローチできました。ちょうど、リスボンに着いた翌朝に東日本大震災があり、出張どころではありませんでしたが……。

 谷川:MySQLについての技術的な評価は?

 花谷:やっていました。ただPostgreSQLと同じ用途ではなく、Webやソーシャル用途としてブランドイメージを確立していくといいのではと考えました。こうしたエリアは今までアシストがアプローチできてなかったところでもあります。

 岸和田:面白かったのは、PostgreSQLやMySQLなど扱うようになり、予想以上にお客様がオープンソースデータベースを使っていることが判明してきたことです。

 花谷:いままでは、Oracle Databaseの範囲でしかお客様にアプローチできていなかったことを痛感しました。MySQL はインフラエンジニアよりアプリケーションエンジニアが管理していることが多いようです。

 岸和田:Oracle DatabaseとMySQL両方使用しているお客様から聞いたところ、MySQLで実装するとデリバリーが早く、コストが安くなる領域と、無理してMySQLを使わずにOracle Databaseを活用した方がトータルコストが安くなる領域があり、使い分けているとのことでした。

 谷川:InfiniDBを発見した経緯は? 当初国内で知られてなかったと思うのですが。

 小野:弊社にはビジネス開発部という部署があり、製品事業に合う製品を世界中から探しています。そこが見いだしました。

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InfiniDB担当の小野さん

 谷川:そういうアシストの側面はあまり知られてないかもしれませんね。とはいえ、オラクルを見つけてきたのもアシストさんでしたよね。

 岸和田:かつて創業社長のビル・トッテン(現・会長)がやっていたことを、組織として継続してできるようにしています。いい製品かどうかだけではなく、弊社のビジネスに合うかどうかも含めて評価しています。

 谷川:アシストがInfiniDBを評価したポイントは?

 小野:オープンソースのMySQLをベースにしていること、スケーラブルなこと、そして何よりも速いというところです。あと低予算のお客様に魅力的です。

 加えてBIを使うお客様にとって「インデックスはありません」というのはインパクトがありました。「入れておけばいいです」というシンプルさ。「速くなります。しかしチューニングが必要です」となるとOracle Databaseと変わらなくなってしまいますから。

 岸和田:短期間でプロジェクトが完遂できる魅力もあります。

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みんな、気持ちのどこかにOracleを残している

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Oracle担当の関さん

 谷川:バラエティがそろったところでオラクルに話を戻すと、Oracle Database 12cが出てアシストとしてはどう評価していますか?

 関:いまPostgreSQLやInfiniDBなど、いろんな担当が出てきていますが、みんな技術的にはOracle Databaseを経験しています。弊社の育成マップがそうなので。だからみんな気持ちのどこかにOracle Databaseを残しているところがあるんです。

 一同:(笑)

 関:Oracle Databaseが欠かせない存在なのは間違いありません。12cが出て興味深かったのは、オラクルのトム・カイトが紹介した「12cの12の新機能」ビデオでした。冒頭から、ほかのデータベースにあってOracle Databaseになかった機能が紹介されていて、Oracle Databaseがほかのデータベースにある機能を取り入れるという流れが今までにはないイメージで意外でした。

 高瀬:いままでオラクルはほかのデータベースにはあまり関知しないイメージでしたからね。

 谷川:面白い進化かな。

 関:いろんなデータベースを使った上で、「やはりオラクルがいいな」と思うような機能を実装し始めてきているのかなと思いました。

 岸和田:マルチテナントのコンセプトはMySQL、PostgreSQLでは以前から実装されていますし。

 谷川:昔はハードウェアのスペックからしたら重くなってしまいがちでしたから。時代にあった機能なのかな。

 花谷:いろいろと知った上で、選択肢が増えたのはよいことだと思います。要件次第で最適なものをお客様にご提案できます。

 谷川:オラクルのアシストからデータベースのアシストになってきたというわけですね。

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 小野:Oracle Databaseをベースにしているというのは強みだと思います。

 岸和田:それを一番実感しているのは高瀬です。

 高瀬:いまOracle DatabaseとPostgreSQLを併用するためのガイドライン作成や支援などをやっており、Oracle Databaseを知っていることは強みになっています。

 谷川:両方知っていると、欠けているものが分かりますからね。MySQLも同様ですか?

 花谷:そうですね。単体で勝負しなくていいのが私たちの強みだと思っています。既存資産を拝見させてもらった上で「これなら○○でいけますね。これなら既存(Oracle Database)を残して、別の部分では○○が使えますね」などと提案できます。

 岸和田:Oracle Databaseだけで構成した方が良い場合もあります。

 花谷:そこはお客様のITへの考え方、企業文化、経緯、将来図など、多様な要件がからみますね。何が一番大事か。

 谷川:その会話ができること、お客様に最適な解を答えられるようになったのはいいですね。

 小野:より最適な解をご提案するということですね。

リレーショナル・データベースの進化を見逃すな!

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 谷川:「リレーショナル・データベースの進化を見逃すな!」とのキャッチコピーで11月7日にイベントが開催されるそうですね。こちらの見どころのほうに話を移していきましょうか。まずはPostgreSQLから。どんな話が聞けるのでしょうか?

 高瀬:9月9日にPostgreSQL 9.3がリリースされました。今回特徴的な開発者向けの機能や冗長化構成、オラクルユーザーから見て興味深いPostgreSQLの機能などを紹介する予定です。

 谷川:アシストでは一通り検証ずみ?

 高瀬:一通り触ってはいますが、まだ検証中のものも(笑)。リアルに触った感触、いい面と悪い面も含めてお伝えできると思います。

 岸和田:Oracle Database互換機能を有する「Postgres Plus Advanced Server」が PostgreSQL 9.3 をベースにしたバージョンが11月より提供開始となるので、そちらの情報もあります。

高瀬:あと、Oracle Databaseの開発ツールですと、デファクトスタンダードのSI Object BrowserのPostgreSQL版もお披露目します。お客様から「PostgreSQL版はないの?」とリクエストを多数いただいていたので、システムインテグレータ社と共同で開発しています。

 谷川:最新状況も含めて話ができそうですね。MySQL、MariaDBはどうですか?

 花谷:先日、GoogleさんがMariaDBを使う?と話題になったり、10月にはSkySQL社が日本で初めてイベントを開催することもあり、注目度が高まっています。国内ではまだ周知されてない領域なのできちんと日本語にしてメッセージを出していきたいと考えています。お客様にしたら次のリプレースの選択肢にMariaDBが出てくると確信しています。

 谷川:ふふふ。

 花谷:MySQLユーザーからしたら、ここでバージョンアップするかMariaDBに移るか悩みどころかと思います。機能的な差異はどうかなど、いま……準備しているところです。

 一同:(笑)

 岸和田:オープンソースデータベースのトラックではMariaDBが(申込数は)一番です。

 谷川:ほおー。そんなに注目されていると。

 花谷:技術的にも背景としても面白いですからね。

 谷川:MySQLがオラクルと統合したところで、技術的に同等、あるいは「それ以上」と言われるMariaDBが出てきたのだから、注目されるのは分かる気がします。

 花谷:ストレージエンジンを開発している方々からすると、オラクル(MySQL)に売り込みにいくか、モンティ(MariaDB)に売り込みにいくかというと、後者のほうが圧倒的にハードルが低いようです。

 谷川:ああ、なるほどね。

 岸和田:MariaDB Development Meeting でも、Michael 'Monty' Widenius氏が「MySQLのエコシステムを維持していきたい(からMariaDB を提供する)」と話していました。あと、Oracle Database、PostgreSQL、MySQL の SQL やプロシージャ、アクセスパスの違いを解説する「SQLとプロシージャからみたRDBMSの違い」のセッションも人気です。自分たちが実際に苦労した(もどかしく感じた)部分を、今年の 6 月末に『SQL 逆引き大全 363 の極意(秀和システム)』として書籍にまとめました。その、執筆者がポイント解説するものです。翔泳社さんじゃなくてすみません(笑)。

 谷川:アシストっぽい書籍ですね。英仏和辞典みたいなものかな。実際にデータベースを使い分けて開発するときには必要な情報だし、現場で重宝されそうですね。

 岸和田:はい。アシスト社内で活用されます。執筆者自身も使っています。 

 一同:(笑)

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 谷川:InfiniDBはどうですか?

 小野:1つ目のセッションでは列指向型データベースやその仕組みの解説、年内に出る予定の次バージョンの機能についてなど。もう1つのセッションではユーザーが増えてきたこともあり、ケーススタディや活用のポイントなどを紹介します。

 谷川:前回のバージョンアップが対外的には地味目でしたが管理系には大事な新機能がありました。今後の成長の方向性はどうですか?

 小野:はい。でも、うーん、言えないかな……。

 花谷:ビッグデータ……

 小野:言ってしまいましたね(笑)。

 一同:(笑)

 花谷:ビッグデータのキーワードはまだ終わってないので、ビッグデータには力を入れていくと聞いています。

 小野:具体的にはHadoopとの機能連携などです。

 谷川:イベントが開催される11月段階で開示できるものがあれば最新情報も紹介していくということですね。では本命のOracle Database関係はどうでしょう。

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 関:やはりマルチテナントが最も注目度が高いです。ただ技術概要はオラクルから情報が出ていますので、お客さんから関心が高い「実際に使ったらどうなるの?」というあたりを数値も含めてお伝えしたいです。12cはお客様から勉強会の要望が高く、ここのところ終日勉強会で埋まる日もあるくらいです。

 谷川:ほお。

 関:あと人気なのが「Oracle Databaseインターナルトラブルシュート」。12cの影にかくれてしまいがちですが、オラクルのサポートを長年経験した人間にしかできないセッションなのでこれも注目していただきたいで す。

 谷川:12cに関するセッションでは10g、11gで使っているユーザーが12cにするとどうなるか、あるいは新規のユーザーが12cのプラガブルデータベースを使うとどうなるかというあたりを解説するということですね。

 関:バージョンをまたいだときにお客様が気にするのは「今までと同じ性能が出るの?」だと思います。オプティマイザの話もします。12cだとどういう条件で高速化するかなど、具体的な数値を出しながらお話しする予定です。

 谷川:実際に触ってみて12cはどうですか?

 関:いまよく質問されるのが、「オプティマイザの新機能でアクセスパスは変化する可能性はありますか?」です。12cのオプティマイザは賢くなるようにいろんな機能を搭載しているのですが、お客様に響いていないような気がしています。

 谷川:昔を知っている人は「ルールベースでやったほうがいいのではないか?」と思うわけですね。

 関:そうなんです。「ルールベースを使わずにこれだけ高速化できる機能がつきましたよ」というのを紹介していきたいです。ここは本当によく質問されるところです。

 花谷:ルールベースはどこも努力の結晶ですからね。「もう誰も触るな!」と。

 谷川:しかし半年もすると崩れてしまうとか。

 関:なかには経験則で「バージョンアップしたら遅くなる」と先入観をもっているお客様もいらっしゃいます。たしかに、多くのSQLでパフォーマンスが良くなっても、ある一部のSQLのアクセスパスが変化することで性能障害が引き起こった経験を持つとそうなるのかもしれませんが。

 谷川:DB Onlineのアクセス状況を見ていると、カタログにあるような情報はどこからでも得られるのでリアルな話とか、うまくいかない話を求めているようです。セミナーも同様でしょうね。

 岸和田:パフォーマンス障害の話はいつも注目度が高いです。過去にもどういう事象が起きて、どういう対処をして、どういう原因だったかを解説したことがあり、皆さん熱心に聞いてくださいました。

 谷川:かつて事例取材したとき、ユーザーが「こうするとよくなる」という情報より、「こうするとダメになる」という情報を求めていると聞きました。将来、性能劣化が起きて原因を探るとき、「これは該当するか?」と判断するのに必要だから。

 花谷:リスクマネジメントの考え方ですよね。「こうするとまずい」ということを知っておくと。

 谷川:ユーザーは賢いですからね。ただ専門知識や最新情報は不足しているだろうから、そこを提供すると有意義でしょうね。

 岸和田:「ここはいいですよ」というポイントと、「ここはこうやって考慮して使わないといけません」というポイントもきちんとバランスが取れた状態で実践的な情報を提供していく予定です。

 セミナー名

データベースのアシスト Database One Day Seminar

~リレーショナル・データベースの進化を見逃すな!~

 開催日時

2013年11月7日(木) 13:00~17:50

 場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター [会場地図]

 特別講演

「データベースに携わる事は人類に貢献するという事~ ビッグデータとデータベース ~」

国立情報学研究所所長   

東京大学生産技術研究所 教授/工学博士 喜連川 優 氏

 主催

株式会社アシスト

 申し込み方法

公式サイトよりお申し込みください。(参加費:無料)

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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