企画書を「ちゃんと読んでくれない人」という人種は少なからず存在します。価格交渉に持ち込まれること無く、こちらのペースでプレゼンを進めるためには、各スライドで要点をまとめる「かんばん方式」が有効です。

実は企画書を読んでもらうのはタイヘン
筆者も経験があるのですが、プレゼンの時に企画書をめくりながら説明していると、提案相手の雰囲気が「うつろ」になっていることがあります。筆者のプレゼン技術のせいだけではなく、企画書を「ちゃんと読んでくれない人」という人種がいるのです。しかも、困ったことに、役職の高い人、決裁権を持っている人にもそういうタイプは少なからずいます。
そうすると、提案していても張り合いがないというか、何となく場がポジティブになりません。下手をすると、途中で説明をさえぎられて、「で、どれだけ安くしてくれますか?」なんて、いきなり見積りの価格交渉になってしまったりします。それでは、せっかく他社との差別ポイントを披露することもできません。
企画書に「かんばん方式」を
そこで、「ちゃんと企画書を読んでくれなさそうな相手」にプレゼンする時におすすめしたいのが「かんばん方式」です。何も難しいことはありません。某大手自動車メーカーのそれともちょっと違います。
PowerPointで企画書を作成するなら、各スライド(ページ)の下に「長方形のかんばん」を置くのです。ちょっと立体的にしてもいいですが、シンプルな方がいいでしょう。
その「かんばん」に、「このスライド(ページ)で言いたかったことはこういうことです」とまとめを記入するのです。
たとえば、『ケータイクーポンによって売上が上がったと答えた店舗は45%』と、相手の耳の奥に届きそうなわかりやすいシンプルなコピーを、18ポイント以上のフォントサイズで記載します。
そして、その「かんばん」をコピーして、次のページの同じ位置にペーストします。そのページにも同じ要領でまとめを記入します。たとえば、『本システム導入の投資金額が5ヶ月で改修できた店舗が65%』とかです。
数字などはダミーです。


実際のプレゼンではこうする
実際のプレゼンでは、そのページを説明した後に「それでは、このページでお伝えしたかったことは、ひと言で言えばこういうことです」といって「かんばん」を読みます。
つまり、相手は自然と毎ページの「かんばん」に注意を集中することになります。つまり、「ちゃんと企画書を読んでくれなさそうな相手」をこちらのペースに引き込むのに使えるわけです。
ページレイアウトにも統一感
「かんばん方式」には、もうひとつの利点があります。ページレイアウトに統一感ができるのです。何となく、デザインがまとまらない、パッとしないと思うときは、各ページに使ってみてください。
「かんばん」はページの下部だけでなく、上部に配置して「このスライド(ページ)で言わんとすることはこういうことです」と、先出しする手もあるかも知れません。しかし、プレゼンの実戦では「それでは、このページでお伝えしたかったことは、ひと言で言えばこういうことです」と、毎ページごとにまとめてあげる(フリをする)方が効果的だと思います。
- 毎スライド(ページ)の下部に「かんばん」を配置
- そのページで伝えたいことをまとめて記入
- ページレイアウトにも統一感がもたらされる
この記事は参考になりましたか?
- 時間がない人に贈る“スグ作れてスイスイ通る”企画書作成術連載記事一覧
-
- 【プレゼン】コンパクトなWord企画書で機動的にプレゼンを制する
- 【プレゼン】各スライドのポイントをまとめる「かんばん方式」で聞き手のあくびを止められる!
- A3一枚の「ワンシート企画書」はモジュール工法で作るべし
- この記事の著者
-
藤木 俊明(フジキ トシアキ)
早稲田大学教育学部卒業(広末涼子やハンカチ王子の遠い先輩)。リクルート、ぴあを経て、現有限会社ガーデンシティ・プランニング代表取締役/明治大学リバティアカデミー講師。プレゼンツールの制作に定評があり、講演、セミナー活動の他、下記の著書を出版。とくに「明日のプレゼンで使える企画書・提案書のつくりかた」...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア