IDCでは、DXを「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新たな製品やサービス、ビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。今回の調査では、このようなデジタル技術活用による企業のビジネス変革の可能性について、リーダーシップ変革、オムニエクスペリエンス変革、ワークソース変革、運用モデル変革、情報変革の5つの側面から調査した。
この調査(2017年12月実施)では、従業員1,000人以上の大規模企業に所属する、部長クラス以上、あるいは、予算・企画等の意思決定者である係長クラス以上の548人に対してWebアンケート調査を実施し、国内ITユーザー企業のDXに対する取り組みの成熟度を分析している。
成熟度の評価は、IDC MaturityScapeに基づいて行った。IDC MaturityScapeとは、IT環境の導入状況を客観的に評価するためにIDCが開発した手法。特定のIT環境についてまったく導入していない場合をステージ0(未導入)とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、ステージ1(個人依存)、ステージ2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)までの5段階で評価するもの。
その結果、国内企業のDXの成熟度は、ステージ1が3.6%、ステージ2が17.9%、ステージ3が42.6%、ステージ4が30.3%、ステージ5が5.6%であることが分かった。国内企業の約4割が、ステージ3(標準基盤化)に位置している。評価尺度別に分析すると、5つの側面のすべてでステージ3の企業が最も多いという結果になった。前年の調査結果と比べ、成熟度に大きな進展はみられず、革新的な製品やサービスを連続的に創出し、市場に変革をもたらすレベルの企業は限られていることが分かる。
IDC Japan ITサービスグループ リサーチマネージャーの木村聡宏氏は「国内のDX成熟度は足踏み状態にある。こうした状態を脱却できるか否かは、DX人材にかかっている。国内企業は、組織の壁を超えた横断的かつ持続的な変革を推進できるDX人材の発掘や育成、確保を進め、DX人材が活躍できる環境を整備すべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「IDC MaturityScape Benchmark:国内デジタルトランスフォーメーション市場 2018年」にその詳細が報告されている。