この調査は、Web調査に基づき2017年12月に実施され、700社から回答を得た。700社の内訳は、大企業(従業員数1,000人以上)は310社、中堅中小企業(同1,000人未満)は390社だった。
2018年度の支出に最も影響を与えるのはデータベース/アプリケーションのパフォーマンス向上
主要なITプロジェクトがストレージ支出に影響を与える度合いについて、「2018年度に大きな影響を与える」「2020年度までに大きな影響を与える」「2021年度以降で大きな影響を与える」「あまり影響を与えない」「分からない」の中から最も当てはまる選択肢を選んでもらった結果、「2018年度に大きな影響を与える」で最も回答率が高かったのはデータベース/アプリケーションのパフォーマンス向上(31.7%)だった。
また、「2020年度までに大きな影響を与える」ではビッグデータ/アナリティスクの活用(27.0%)が、「2021年度以降で大きな影響を与える」ではAIの活用(21.3%)が回答率のトップだった。
IDC Japan エンタープライズインフラストレクチャ/PCs グループディレクターの森山正秋氏は「現在は、PoC(概念実証)が主体になっているビックデータやAIのプロジェクトであるが、今後数年以内に本格的に立ち上がることで管理すべきデータ量が膨大になることが理解され始めている。また、膨大なデータを管理することが、将来のストレージ支出に大きな影響を与えるとの認識が定着してきている」と分析している。
データ管理ポリシーには、データの最適配置などを組み込んでいくことが重要
また、今回の調査ではデータ管理ポリシーの策定レベルについても調査をしている。データ管理ポリシーを、全社、複数部門、単一部門のいずれかのレベルで策定している企業の割合は53.7%で、策定を計画している企業の割合は25.1%だった。データ管理ポリシーに含まれる項目についての回答率ではセキュリティ(61.9%)、コンプライアンス(51.2%)、データ保護(45.6%)に対する回答率が高い結果となった。
その一方、オンプレミスのシステムとクラウドサービスを連携して利用するハイブリッドクラウド環境で重要になるデータ移行、データの最適配置、データ運用のコスト管理をデータ管理ポリシーに含めているという回答はいずれも20%未満の回答率にとどまった。森山氏は「国内企業においてもハイブリッドクラウドの利用が常態化しつつある。そうした環境においては、データ管理ポリシーにハイブリッドクラウド環境でのデータの最適配置などの項目を組み込んでいくことが重要になる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2018年 国内ストレージ需要動向調査:データマネジメントとストレージ選定」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内企業のデータ保有量、ストレージインフラとしてのオンプレミスとパブリッククラウドの選定基準、ストレージインフラ構築の課題、ストレージインフラ戦略とデータ管理戦略で重要視する項目、オールフラッシュアレイとSoftware-Defined Storageの選定基準などについてユーザー調査に基づいて多角的に分析をしている。