クラウド向け大規模データセンターの建設ブームが継続
発表によると2017年末時点の国内事業者データセンター延床面積の合計は、205万6,400平方メートルであり、2022年には239万3,600平方メートルに増加するとIDCでは予測している。これを年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate、2017年~2022年)に換算すると、3.1%で増加することになる。
今回の予測では、昨年2017年3月に発表した予測を上方修正している。AWS(Amazon Web Services)、マイクロソフト、グーグルなどのクラウドサービス事業者が国内のデータセンターキャパシティを拡張していることを受けて、大規模データセンターの建設ブームが続いている。こうした建設投資意欲は、2022年まで高い水準を維持するとIDCではみており、今回の予測見直しはこうした動きを反映したもの。
データセンターの規模は面積だけでなく、電力供給能力で評価する時代になる
このようなクラウドサービス向けの大規模データセンターでは、従来のデータセンターよりも収容されるサーバーが多いため、より多くの電力を消費する傾向があることが知られている。最近は、人工知能やディープラーニング(深層学習)といった新たなテクノロジーを利用したサービスを、クラウド環境から提供しようとするサービス事業者が増えているため、データセンターにおける電力供給能力はますます大きくなりつつある。
今後はデータセンターの規模を延床面積だけでなく、電力キャパシティ(サーバー室で利用できる電力の容量)で評価することが重要になる。今回の調査で、2017年~2022年の国内事業者データセンターのキャパシティの増加を、延床面積ではなく電力キャパシティで計測/予測すると、CAGR6.3%で増加することがわかった。これは延床面積の成長率(3.1%)よりも高い伸び率であり、面積あたりの電力キャパシティが大きくなることを意味している。
クラウド向けの大規模データセンターでは、キャパシティの大きさとともに効率的なデータセンター運用が求められる。「ビジネスの変化に迅速に対応できることが、クラウド時代のITインフラにとって最重要課題である。データセンター運用効率を、一層効果的に実現するための取り組みが重視されるようになるであろう」と、IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内データセンター数/延床面積/電力キャパシティ予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。レポートでは、事業者DCだけでなく、企業内DCについても、サイト数、延床面積、電力キャパシティの予測を、所在地別、竣工年代別、電力密度別に掲載している。