CAE解析は、コンピュータ上に対象物のモデルを構築し、強度や耐熱性などの特性を算出し予測することで設計・開発・検査の工程を効率化するもの。多くのコンピュータリソースを必要とするため、高速な計算処理を実現するHPC環境が必要となるが、オンプレミスで用意するには高価なこともあり、クラウドでの利用が進んでいるという。
Azure上でのHPC環境の構築を自動化する「XTREME-DNA」
「XTREME-DNA」は、Microsoft Azure上でのHPC環境の構築を自動化するクラウドサービス。リソースの調達や設定を含めたHPCクラウド環境の構築に加えて、運用や監視のツールも備えており、負荷のかかる計算処理で大量に必要とされるクラウドの管理業務が効率化できるという。また、機械学習や解析シミュレーションなどの様々なアプリケーションをSaaSとしてテンプレート化しているため、導入後、すぐに解析に着手できるサービスになる。
CAE解析ソリューションのクラウド化
CTCは、「XTREME-DNA」の取り扱い開始に伴い、同社のCAE解析ソリューションを「XTREME-DNA」のテンプレートにしたクラウドサービスを提供する。その第1弾として、超音波シミュレータ「ComWAVE」をクラウド化した。「ComWAVE」は、建築・建設や医療などにおける超音波検査の結果から、10億要素規模の膨大なメッシュを駆使して固体の状態を高精度にシミュレーションするソフトウェア。「XTREME-DNA」のComWAVEテンプレートを使用すれば、ユーザーは、Microsoft Azure上の最新のGPUを使用したComWAVEの実行環境を最短1日で利用を開始することができる。
また、熱プロセスシミュレータ「FINAS/STAR TPS Edition」や非線形・動的・流体構造連成シミュレータ「LS-DYNA」などのその他のCAE解析ソリューションも順次クラウド化を進めており、今後は、複数のクラウド環境においてユーザーやデータなどを管理する統合ポータルサイトの開設や、解析シナリオと実行結果の可視化などの機能拡充を予定しているという。
CAE解析ソリューションと対応するクラウドサービス
・超音波シミュレータ「ComWAVE」:建築・建設や医療などにおける超音波検査の結果から、固体の状態を高精度にシミュレーションするソフトウェア(XTREME-DNA、ScaleX[Rescale]、Microsoft Azure)
・熱プロセスシミュレータ「FINAS/STAR TPS Edition」:熱処理による材料の変形、組織変化、残留応力の定量的予測を行う有限要素法解析コード(Microsoft Azure)
・非線形・動的・流体構造連成シミュレータ「LS-DYNA」:構造の大変形応答を解析するための汎用陽解法有限要素解析プログラム(PLEXUS CAE、ScaleX[Rescale])