2017年の企業規模別では、中堅中小企業4.7%、大企業23.6%、全体で4.7%と推計
2017年の推計を企業規模別に見ると、従業員が499人以下の中堅中小企業のテレワーク導入率は2017年で4.7%、同500人以上の大企業では23.6%と大企業でより導入が進んでいる。国内の企業数は中堅中小企業が99.8%を占めることから、同セグメントの導入率が全体の導入率に大きく影響するため、2017年における国内全体のテレワーク導入企業の割合は4.7%と推計される。
今後テレワークは、ワークライフバランスの向上による生産性の向上、優秀な人材確保/流出防止、労働人口減少の緩和などの目的で導入が進み、2022年では29万社(企業導入率 9.7%)になると予測される。
テレワークの導入が中堅中小企業に対し、大企業で進んでいる背景は、「社員のダイバーシティ(多様性)の拡大を背景とした働き方の多様化に対するニーズ」「顧客との立地の近さ」「ICT導入の格差」などが考えられる。
また、大企業の中で産業分野別に見ると、「サービス」「製造」「金融」で導入率が高い一方、「医療/教育/公益」は導入率が相対的に低いことがわかった。「医療/教育/公益」は、顧客との対面や関係性の深さ、個人情報漏洩への危惧、大規模な研究機材などの制限などから、テレワークが導入しにくいと考えられる。
業務仕分けを行い、どの業務でテレワークを進められるかを各企業で検討すべき
テレワークは、勤務する場所や形態によって「在宅型」「施設利用型」「モバイルワーク型」の3つに分類される。この中で「在宅型」が中心に進んでおり、2022年に向けてもこの運用型が中心になると考えられる。一方、「施設利用型」は貸し会議室などを利用することから、コストとセキュリティに対する不安から2022年でもテレワーク導入企業の半数以下の運用率になると予測される。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は、「テレワークの導入は中堅中小企業の導入率が低いことで、国内全体の導入が遅れている。総務省調査では中堅中小企業がテレワーク導入に消極的である主な理由は、テレワークに適した仕事がないことであった。しかしながら業務の仕分けを行う事で、どの業務でテレワークを進めることができるかを各企業で検討すべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内テレワーク市場 産業分野別予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。