1. クラウドサービス提供事業者によるデータセンター利用が加速
2018年度の国内ITアウトソーシングサービス市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比102.4%、4兆1,175億円の見込み。
この調査におけるITアウトソーシングサービス市場は大きく、「データセンター関連サービス」および「オンサイト運用・保守サービス」から構成される。まず、データセンター関連サービスにおいてはクラウドの普及によりクラウドサービス提供事業者によるデータセンター利用が加速している。
次にオンサイト運用・保守サービスは、ユーザー企業がデータセンター関連サービスへのシフトを進めており、引き続き利用が減少している傾向にある。特にIT機器単価の下落による保守サービス料金の低下や仮想化技術の普及により、サーバーのみならずストレージ、ネットワークまで統合した、ハイパーコンバージドインフラ(HCI:Hyper Converged Infrastructure)製品の登場も影響し、保守対象となるICT機器の台数が減少傾向にあることが影響していると考える。
2. ハイパースケーラーの存在感が益々高まる
国内のデータセンター需要のけん引役として、クラウドサービスの急速な広がりがある。クラウドサービスは当初、ゲーム業界などのネットビジネス分野での利用が中心あったが、その後、スマートフォンの急激な普及などもあり、モバイルアプリケーション分野でのクラウドサービス利用が進んだ。
最近では、海外のハイパースケーラーを中心としたクラウドサービス提供事業者が日本国内にデータセンターを積極的に開設しており、大きなけん引役として存在感を益々高めつつある。また、既存のデータセンター事業者との提携も積極的に進めている。
3. 2021年度まで年平均成長率2.1%で推移し、4兆3,579億円の市場規模に
クラウドサービスなども含めたデータセンター関連サービスの利用が増加している一方で、オンサイト運用・保守サービスの利用が減少しているものの、ITアウトソーシングサービス市場全体としては、引き続き拡大しており、今後も安定した成長を見込む。
2016年度から2021年度までの国内ITアウトソーシングサービス市場全体の年平均成長率(CAGR)は2.1%で推移し、2021年度の同市場規模(事業者売上高ベース)は4兆3,579億円に達すると予測する。
調査は、2018年7月~9月に実施されたもので、矢野経済研究所が刊行した「ITアウトソーシング市場総覧 2018 ~オンサイト運用保守/データセンター/クラウド~」に詳細がまとめられている。